今田勝 / Rivage (1986) – 松木恒秀

松木節はごくわずかですが夏のBGMにいかがでしょうか。

A1. Melodious Summer
2. Wind & Wave
3. Driving The Cabriolet
4. Ships In Harbor


B1. A Door Of Glass
2. Vinous Party
3. Saint Tropes
4. Strange Conversation



今田勝さんの'86年の作品です。日本を代表するJazzピアニストの一人で'50年代から活躍されていますが、80年代は自身のバンドNOWINの結成はじめFusionを夏やトロピカルをテーマにしたDusion作をリリースしており(それぞれの邦題、および帯のキャッチコピーは今にしてみると非常にイタいものがあります・・・本作は「夏はメロディアス」です)、その中でも本作は清水信之さんのアレンジ、シンセの多用により、ポップ感、ライト感が強い1枚です。本格的バブルに向かう中、夏の海へのドライブとアフターのBGMとして、そっち方面の人向けに制作されたのでしょうか?
男「昨日買ったレコード、今日のドライブのためにカセットテープにダビングしたんだ!」
女「おしゃれね〜』
男「Rivegeていうんだ。フランス語で海岸っていう意味なんだぜ(ドヤ顔)」
女(興味なさそうに)「物知りね〜」
男(今日はこれで落とすぜ!)
てな感じでしょうか?
偏見かもしれませんが真剣に聴き入ったりコピーしたりという音楽好きに訴える内容ではない気がします。
私が購入したのは'90年代の後半、すでにFusionブームも去り、バブルもとうに崩壊しておりユニオンのFusion安箱にひっそりと入っておりました。これ以前に聴いていた今田さんのLPにもSteve Khanや香津美さんなどが参加しておりましたが、本作の裏ジャケにはなんと松木さんと杉本さんの名前がありました。300円、速攻でレジに向かいました。

<ギターの聴きどころ>

インナーには個別のクレジットがあり、松木さんはA1のみに名前が書かれておりました。やや落胆しつつも早速聴きます。
針を下ろした瞬間、マリンバの響きと軽いビートに「軽〜っ」とさらに落胆してしまいました。それまで聴いていた作品、トロピカルをテーマにしつつもそこはかとない哀感があり渚の情景が漂う美メロが魅力だったのですが、今回はキャッチーすぎて・・・期待した松木さんのプレイも当時流行りのコーラスサウンド、控えめなミュート気味のリフ主体で音量も控えめでした。
もう一人のお目当ての杉本さんはA2,A3,B1の3曲に名前が載っていますが、B1のアコギプレイ以外持ち味を感じませんでした(エフェクトも強すぎでは?)なお、杉本さんは'81年の"Carnival"で味わい深いギターをプレイしています。
一方で、本作の参謀格の清水さんはA4で流行りのサウンドでGraydon風のハモリソロを弾いており、他の曲でもギターに名前があります。ラストのB4にもUltora-Super Guitar soloと書かれており、後半歪みとナチュラルサウンドの掛け合いがあります。歪みの方はともかく、ナチュラルサウンドは松木節を感じました?松木さんが匿名で弾いているのか、あるいは自身の"コーナートップ"などの共演で、清水さんが松木節を学んだのか?真相はいかがでしょうか?

本作、前述の理由でほとんど聴いていなかったのですが、夏場のランニングやなんちゃって家庭菜園の作業の際のBGMとしてはそれなりに心地よく、数年前より夏限定で聴く機会が増えました。松木さんのプレイや深い情感を期待すると肩透かしですが、まだまだ熱い日が続く毎日のBGMにいかがでしょうか?






Emotional度
Bluesy度
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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