朱里エイコ / Endless - Eiko Meets Paul Anka (1977) - 松木恒秀

2023年5月3日 2024年6月21日

domon@guitar

クレジットはありませんが絶唱を支えるギターは松木さんと思います。

A1. When You Come Back Joe
2. Oklahoma Morning
3. She's A Lady
4. Diana
5. You Are My Destiny
6. My Way

B1. Jubilation
2. Lonely Girl
3. Little Too Much
4. Papa
5. You Make Me Feel Like A Woman
6. Let Me Try Again

朱里エイコさんの'80年の作品です。ライブでの「My Way」の熱唱がPaul Ankaの目に留まり、提供を受けた書き下ろし作品やや、往年のヒット含め、タイトル通りPaul Ankaの曲を集めた盤になります。表現力と迫力、エンターテイメント性を兼ね備えたヴォーカル、当時でも群を抜いた実力派歌手だったのだと思います。亡くなった父がファンだったのか、美しい脚に１億円の保険をかけている、とか地元のコンサートで失踪してしまって残念、などと語っていたのを覚えています。（今にして思えば、小学校入学前の前の子供にそんな話をしてどうするのかと言う感じですが、ラジオなどでよく聴いていたのでよほど好きだったのでしょう。自分もパンチのある歌声と時々テレビに映る脚線美をなんとなく覚えていました。）
４０年以上の時を経て、ギターマガジンの和田アキラさんのインタビュー記事で師匠松木さんについて語る中、ボーヤ時代に朱里エイコさんのツアーに同行した、と言うようなことが書かれており、もしかするとスタジオ盤にも松木さんが参加しているのではと思い、早速ユニオン昭和歌謡館に向かい1枚だけ売っていたのが本作です。1000円ぐらいでした。クレジットはありませんでした。
幼い頃の記憶を辿るように、早速針を下ろします。

＜ギターの聴きどころ＞

左からはディストーションサウンド、右からはキレのいいカッティングが聴こえてきました。ドラマ性のある歌詞と熱唱をホーンと共に彩るようなプレイです。右は音の切り方やアクセントの置き方が松木さんと思いますが左は？70年代は歪みサウンドのプレイもあり粘りが松木さんのプレイのようにも思えます。
爽やかな響きのA2,イントロのユニゾン、セミアコのセンターポジションと思われるクリスピーなサウンドでのオブリ、アコギのアルペジオなど数本のギターが重ねられています。これはどうでしょうか？
A3,左はテロリロやチョーキング、ミュートプレイを交えながらダブルストップのスライド主体のバッキング、これは松木さんで間違いないでしょう。右のカッティングも。
オールディーズのA4では左のミュートを交えたコードプレイに加えて、右のコード崩しのオブリが入ります。これも？
A5も有名曲です。右のダブルストップスライドや指びきっぽいオブリは松木さんでしょう。
熱唱が素晴らしいスタンダードのA6、終始ヴァイオリン奏法が寄り添います。右のコード、最初は煌びやかなサウンドですが後半の刻みに入るとシンプルです。いずれも松木さんと思います。
B1の左も少し弾きすぎの気がしますが、スライドやチョーキングのタイミングなど、松木さんのプレイです。
B2は前半2拍4拍のシンプルな刻みと、後半のBluesバッキングですがこれも松木さんと思います。
B3はアコギのバッキングに、中盤以降カントリーっぽいサウンド（セミアコのセンターポジション？）とプレイが入りますがどうでしょうか？
B4もセミアコのセンンターポジションのクランチサウンドでピッキングの強弱で表情をつけています。（90年代後半以降、335に戻ったCarltonの得意なサウンドです）松木さんらしくないサウンドではありますが、チョーキング後の「かけない時もある」ビブラートコントロールや音の切り方が松木さんと思います。塩次伸二さんのような気も？（もこういうプレイ絶品なので）
B5、Arethaにも似たタイトルの曲があったな、などと思いつつ、このオブリも松木さんのような気がします。
アルバムを締めくくる感動的なスロウのB6,右の刻みと左のオブリの組み合わせです。左のタメタメの歌心溢れたプレイ、これは間違い無いでしょう。
抜群の歌唱力をバックアップするバリエーション豊かなサウンドとプレイ、クレジットがないので全部が松木さんかどうかは自信がありませんが、参加は間違いないと思います。なかなか見つからないのですが他のアルバムも探して聴いてみます。（松木さん参加していなくてもこれだけ歌が上手ければそれだけで満足です）