Chuck Mangione / Feels So Good (1977) – Grant Geissman

器用で多彩なプレイが快感サウンドを彩ります。

 A1. Feels So Good
  2. Maui-Waui
  3. Theme From "Side Street" 


 B1. Hide & Seek (Ready Or Not Here I Come)
  2. Last Dance
  3. The XIth Commandment
 




Chuck Mangioneの'77年の作品です。JazzやFusionとしては異例とも言えるヒット作で、Billboardのアルバムチャートでも2位に達し、当時大流行していたSaturday Night Feverのサントラに肉薄していたようです。(シングルカットされたA1もeU.S.Chartsの4位にランクインしました)Jazzトランペッターとして音楽活動を開始しましたが、70年代にはFusionブームに先立ち、メロウ路線に転換、楽器もよりソフトなサウンドのフリューゲルホルンに持ち換え、本作で大ブレイクしました。
当時、私は小学生でしたが、ラジオなどでA1のテーマ部分が流れていたことをなんとなく覚えています。(演奏者や曲名は知りませんでした)音楽誌でもFusionの名作として取り上げられており、'90年ごろユニオンの安箱で叩き売られているのを購入、印象的なメロディを聴いて、当時聴いたのはこの曲だったのかと納得した次第です。
バックの確かな演奏に乗って奏でられる爽やかさも優しさもある美しいテーマ、メロウなフリューゲルホルンのサウンド、ソロを受け持つサックスやギターの情感のこもったプレイ、これらがうまく融合してできた一世一代の名作であり、快感サウンドのA1は長く聴かれ続けると名曲と思います。先日のBlu Note TokyoのCarltonのライブの開始前のBGMでA1が流れておりました(会場の方ほとんど知っているらしく、ちょっと気恥ずかしい雰囲気になっていた気もしました。)




<ギターの聴きどころ>

ギターはGrant Geissmanで、全曲に参加し、機材の面ではエレクトリック、アコギ、ガットを使い分け、プレイの面でもバッキングにソロに重ねを活用して大活躍しています。私は本作で初めて知った人ですが、'70年代中盤から音楽活動を開始し、'76年からChuck Mangioneバンドの専属ギタリストとなったようです。本作録音当時、24歳の若さでした。裏ジャケのバンドの集合写真?にもあまりオシャレではないながら爽やかで若々しい笑顔が写っています。
大ヒットのA1では、主役のFHをガットのみの伴奏で支えたかと思いきや、テンポが変わるとトレブリーなサウンドでカッティングを始め、さらにヴァイオリン奏法を重ねます。感動的なテーマのバックではWahも絡めた(個人的には絡めない方がいいのですが)カッティングでGrooveの一端を担い、キメのリフに続いて、ナチュラルトーンでのゆったりとしたなソロが入ります。一旦サックスにバトンを渡した後、再びソロが登場し、ここではフェイザーを絡めた(個人的には絡めない方がいいのですが)サウンドで、大きく入りますが小刻みにノートを刻んだりハイポジションでのチョーキングやマイナーペンタを絡めたりと激しさが増しています。エンディングもキメのフレーズで主役やサックスに応酬します。
A2でも、強めのフェイザーながらメロウなバッキングやソロです。この2曲、どっちも長尺なのですが、一貫して気持ちのいいサウンドなので飽きや長さを感じさせません。
A3では、1点して2分しかない短さの中にWahカッティングやリフ、ソロを詰め込んできていて、バンド全体も密度の濃いプレイをしています。
B1は左はキレのいいカッティングに終始し、後半ではセンターより右にナチュラルドライブがかかったサウンドでのロングソロで主役を喰ってしまうような盛り上げのプレイを聴かせます。
B2では左のエレクトリック、右のアコギでしっとりと始まり、中間部にはアコギでのソロとエレキでのオブリを重ねます。
映画音楽的なラスト、曲のムードがダイナミックに変わり、これまでの気持ちいい流れの中では違和感が大きく、別の曲を収録した方が良かったのではと感じます。ギターのサウンドプレイもアコギ、シャープなカッティング、ドライブソロとぶっ込んできますが、詰め込み感満載で散漫な印象を受けます。
アルバム全体で、一体何パート分のギターを重ねているのでしょうか?どれも卒なくこなしていて、器用なプレイ、最初はRitenourが弾いているのかと思いました。
なお、この頃のメインのエレクトリックはトンガリL5のようです。フロント、センター、リア全て駆使しています。
本作でGrant Geissmanに興味を持ち、78年の"Godd Stuff",83年の”Put Away Childish Toys”を安箱から探し当てました。前者がストレートなJazz、後者が本作の延長のような多彩なサウンドとプレイで全く方向性が異なります、かと思うと、最近(’10年以降)では、CarltonやRobben Fordなどを招いてBlues色の濃いCDも出していて、色々引き出しが多い人だと感じました。(初期の作品から続けて聴くと、とても同じ人が弾いているようには思えませんでした。)ここに登場する他のギタリストのようにOne & Onlyの強烈な個性はありませんが、どの作品もセンスと歌心に溢れていることは間違いありません。でも、ご本人は本当は何がやりたいんでしょう?山岸さんのように、興味あることはなんでもやりたい人なのでしょうか?
本作含めてまだ5〜6枚しか聴いていないので、見つけたら聴いてみたいギタリストの一人です。(ただし高くないやつで)






Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡ 
Mellow度♡♡♡♡♡
お酒のお供度♡♡♡♡
本当は何がやりたいの度?????

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