Gary Chandler / Outlook (1972) - Cornell Dupree

Dupree、カッティングにオブリにソロに大活躍です。

 1. Baby Let Me Take You (In My Arms)
2. Flamingo
3. Kaleidoscope
4. The Jet Set
5. Blue Dues




Gary Chandlerの'72年の作品です。USのトランペッターで60年代からプロとして活動を始め、Motown在籍を経て自身のグループを持つとともに、Lou Donaldson や Charles Earlandなどとのセッションに参加するいわゆる「コテコテ」系の JazzManです。本作は唯一のアルバムであり、Idris MuhammadやGordon Edwardsなどブラックフィーリングあふれるメンツと共にレコーディングされています。
本作は、音楽誌でDupreeの参加を知り、必死に探すもユニオンなどの店頭で見つけることができずにいたところ、世紀が変わることになぜかBill Mason のGettin' Offとのカップリング盤がUKで再発されましたので早速購入しました。お互い1枚だけしかアルバムをリリースしておらず、単独でCD再発するには採算が見込めないので合体させてしまったのでしょうか?

<ギターの聴きどころ>

Bill Masonの5曲が先行し、その後Gary Chandlerの5曲が続きます。一発目のイントロよりDupreeのテレキャスが唸りを上げます。左がドライ音、センターと右にディレイ音を被せるステレオ技術を活用した配置で、緊張感を高め悪くない手法です。主役のペットのバックでは独特の音を飲むスッチャというカッティングに経過音のオブリを加えてバックアップし、中盤のソロではシングルトーンの合間にカッティングを加えるいつものスタイルで、タメ、焦らしながらも、いつもより強めのピッキングでチョーキング、ビブラートなど交えながら弾き倒しています。ソロ後はパターンを少し変えてバッキングを続けています。
続くスロウの2曲目はオルガンにバックを任せ、参加していないようです。
Gordon Edwardsのイナたいベースから始まる3曲目、ここでも弾けるようなプレイで被さってきて、テーマに入るとシンコペを交えたスッチャカカッティングに移行します。合間にハーモナイズドチョーキングやトレモロピッキングを交えつつ軽快に刻んでいきます。
4曲目はIdris Muhammadが叩くJazzビートにホーン隊が華やかに乗っかり、Dupreeはトーンを絞った柔らかめの音でスタッカート、テヌートを巧みに取り混ぜてフリーにコードを流します。一聴するとDupreeとわからないかもしれませんが、独特のノリは十分個性を発揮しています。
ラストもソロこそありませんが、バッキングにオブリにDupree大活躍です。特にテーマを奏でるホーン隊にレスポンスしてねっとりと絡みつくようなオブリは鳥肌ものです。いつもは軽めのカッティングもGaleほどとはいかないもののザクザク感のある力強さです。
なお、前半のBill Masonの"Gettin' Off"のギターはなんとWilbert Longmireで、70年代後半以降のBensonもどきの三部作からは想像のつかないFunkyなプレイを聴かせてくれています。こちらも別の機会にご紹介したいと思います。
コレクター的には、それぞれ別にアナログで持ちたいところなのでしょうが、一粒で二度美味しい2on1、たまに中古で見かけますのでぜひ聞いてみてください。



Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

気に入っていただけたらフォローお願いします

Gary Chandler / Outlook (1972) - Cornell Dupree” に対して2件のコメントがあります。

  1. 縞梟 より:

    こんにちは。
    私がたまたまこの作品ににたどり着くことになった経緯は
    Rusty Bryantの「Fire Eater」でレオン・スペンサーに負けじと熱いオルガン演奏を繰り出し
    ジャズ批評本「コテコテ・デラックス」では「キース・エマーソンもびっくりの狂乱オルガン」
    (テクニックは500分の一くらい)と評されていた(笑)ビル・メイソンさんの
    「Gettin' Off」に興味を持ちドラムもムハマッドだったので探しまくるも単CDがなく
    この2in1に行き当たりました。
    (2on1という表記は初めてみましたが、domon@guitarさんの感覚はCDに音が
    収録されているというのではなく、CDに音が乗るという感覚なんでしょうね)
    でおまけのようについてきたゲイリー・チャンドラーさんはお初だったのですが
    こちらもドラムはムハマッドで得した気分だったのですが、面白いなと思ったのが
    「Kaleidscope」のサビの部分で、これどっかで聴いたことありませんか?
    そうです、山口百恵の「横須賀ストーリー」のフレーズ「今も海が見えるでしょうか~」ですね。
    作曲者の宇崎竜童さんは明治大学時代に軽音楽部でトランペットを吹いていたとのことなので
    何をかいわんやです(笑)

  2. domon@guitar より:

    コメントありがとうございます。
    コテコテデラックス、私も愛読しております。
    この手の音楽はテクニックや理論では語れない熱量と油量がありますね!

    2on1は単なる間違いです・・・・
    戒めのため、直さずこのままにしておきます。

    宇崎さんはDTBWBのワイルドなイメージ(ビジネスワイルド?)とは異なり、真面目で勉強熱心な方のようですので色々と研究されていたのではないでしょうか?

コメントを残す