Phil Upchurch / Companions (1984)
Upchurchの引き出しの多さを実感する名盤(珍盤?)です。
A1. Companions 2. Song For Lenny 3. Mr. T. (B.A.'s Song) 4. Show Your Love B1. Tell Me I'm Not Dreaming 2. Blues In The Middle 3. Rosanna 4. See See Rider Phil Upchurchの'84年作品です。ほとんど市場に出回っていないかと思いますが、参加メンバーも豪華で(Note Eastは、Nathan Eastですかね?)あり、小技を含めたさまざまなギタースタイル、プレイを堪能できる名盤だと思っています。Upchurchは、BensonのWeekend In L.A.(邦題:メローなロスの週末)やDonny Hathawayのライブに参加しているギタリスト、という程度の認識だったのですが、Spirit Travelerを聴いて(独特のタメやチョーキングとヴァイオリン奏法の組み合わせなどDavid T.やGaleほど強烈ではないにせよ)個性の強いプレイに惹かれ、ソロ・セッション作とも集め始めました。 本作は、新宿Unionの新着中古Jazzの箱に入っていたのを速攻でGetしました。確か1200円ぐらいだったと思います。Rossanaという曲が入っていますが、まさか? そして、ジャケットの女性はまさかコンパニオン?
<ギターの聴きどころ>
A1,A2は、Lenny Breau(左)との共演です。この人は、それまで聴いたことがありませんでしたが、数多くのリーダー作を出しているJazz Guitaristのようで、本作リリースの直前に亡くなったようです。(Dadicated to Memory ofと裏ジャケに書かれています) なんと1曲目はヴォーカル曲で、バッキングと合間に交互にソロが聴けます。Breauはハーモニクス奏法の多用、Upchurchはヴァイオリン奏法と駆け上がり、下りフレーズとスタイルの違いが際立ちます。 続くスロウのA2では、二人のギターによる語らいが聴けますが、やはり個性の違いは明確です。 FunkyなA3では、Gerald Albrightのサックスのバッキングから、細かい譜割も交えつつ流れるようなソロを聴かせます。ちょっとBensonからの影響もあるのでしょうか? A4は再びヴォーカル入りのおしゃれなAOR風ですが、あえて?甘くせずイナタいソロを弾いています。 B1もカッティングとソロの二役で、ソロは微妙にリズムから逸脱するようではまっている不思議な味わいです。 B2はタイトルに相違してBluesではなく、エフェクトも駆使してトリッキーな面も見せます。 そしてB3です。まさかとは思いましたがTOTOの大ヒット曲のカバーでした。コードソロ的に複音中心にテーマを奏でていて、雰囲気は異なりますがメロディも、曲のリズムも紛れもなくRossanaでした。曲の途中ではくどいほどのソロを弾くかと思えば、しっかりキメのフレーズも決めていてさすがです。Lukatherのギンギンのソロと対決させても負けないのでは?長尺なので後半の間延びはご愛嬌というところでしょう。 そして、ラストはなぜかJimmy Witherspoonを呼んでのBluesスタンダードです。元々60年、70年代はBluesmanのバックも多数やっていて原点回帰というところでしょうか?Bluesでのヴァイオリン奏法は私めもセッションで真似をして、メンバーから顰蹙を買いました。 1枚通して聴くと、改めて引き出しの多さを感じます。いぶし銀と評されることが多い人ですが、決して渋いだけではなく、いい意味で節操のなさやトリッキーさも持ち合わせていてやはりOne & Onlyなギタリストだと改めて感じます。 使用ギターは裏ジャケによればPolytoneとのこと、初めて見ました。Upchurchさん、L5などの王道だけではなく、昔からあまり他のギタリストが使わないギターを弾くようです。ちょっと変わり者?
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡ |
酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
結構節操ない度 | ♡♡♡♡♡ |
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