T-Square / Miss You In New York (1995) – Cornell Dupree

2024年9月6日 2024年9月6日

domon@guitar

緻密に作られた音楽にはもしかしたらDupreeは合わないのかもしれません。

 1. Midnight Dreamer (Night Dreamer '84 "Adventures")
 2. Cause (Because '87 "Truth")
 3. Papillon - Cajan Style (Papillon '88 "Yes, No.")
 4. Miss you '88 (Miss You '88 "Yes, No.")
 5. Who's Lickin' It (Lickin' It '78 "Midnight Lover")
 6. Breeze and You '95（Breeze and You '87" Truth"）
 7. Final Drop Goal（Drop Goal '86 "S･P･O･R･T･S"）
 8. Unexpected Lover In N.Y.（Unexpected Lover '87 "Truth"）

 
 
T-Squareの'95年の作品です。「T-SQUARE and FRIENDS」名義のリアレンジ・アルバムの2枚目にあたり、過去の作品をN.Y.で現地のミュージシャンをゲストに迎えてレコーディングされています。各曲のタイトルも微妙に変わっています。（曲名の後ろに原題と収録アルバムを記載しましたのでご参照ください）
自分の高校生の頃の記憶だとThe Squareという名前でCasiopeaと人気を二分する日本の後期Fusionバンドで、当時の音楽雑誌にも頻繁に取り上げられていました。安藤さんと伊東たけしさんの二枚看板で活動していた認識ですがポップな印象があり（自らもFusionではなくポップインスツルメントバンドと称していたようです）、キメの多いテクニカルなCasiopeaともども、個人的には淡白な気がして入り込むことができずほとんど聴いていませんでした。長い活動の中でメンバーチェンジも結構頻繁にあったようで本作をリリースする頃にはいつの間にか伊東さんが脱退、本田さんが加入していてバンド名も変わっていました。
本作も発売当時JazzLifeやAdlibなどで取り上げられていてDupreeの参加も知っていましたが、構成がしっかりていてライトなSquareの音楽にDupreeのいい意味でのルーズさや味わい深さがあうのかという思いがあり、新品での購入は見送りました。約10年後の'05年以降、安箱でSquareやCasiopeaのLPを買い集める中（多くは100〜300円でした）、本作についても思い出し、激安の中古盤を購入しました。

＜ギターの聴きどころ＞

インナーには個別曲のクレジットがあり、それによるとDupreeは5と8の2曲に参加していました。早速聴きます。
5は2ndからで、Squareの中では珍しい曲調に思えました。楽器の構成が変わったせいか、オリジナルに比べてよりアーシー感が強まっています。Dupreeは右で、イントロからオブリで左の安藤さんと囁き合っています。その後もテーマをユニゾンしたりハーモナイズドチョーキングを入れたりフリーなプレイをしていますが音量が小さく聞き取りづらいです。あるいはごく弱くピッキングしている？曲の後半でサックスを引き継いでソロに入ります。ピッキングやフィンガリング、フレーズ運びはいつものDupreeなのですが、珍しくコーラスがかかったサウンドのせいかニュアンス表現が薄まっている気がします。Dupreeに合っている曲なのに少し残念です。
8は大ヒットアルバムからの美しいスロウで、この曲でもDupreeは右です。主役の本田さんや安藤さんのバックアップに徹した控えめなプレイです。時折差し挟むダブルストップなど光るフレーズもあるのものの、やはり音が小さくて聞き取りにくく、バンドのキッチリしたリズムのせいか、Dupreeの独特のタイミングの揺らぎが活きてないように感じました。あるいはミックスダウンの段階でそれが理由で音量を抑えられたのでしょうか？
プレイもやや不完全燃焼の印象を受け、もっとフリーに弾いてもらっても良かったのではと感じました。発売時の予感が残念ながら当たっていた感があります。少し後の森高さんの曲への参加はのびやかでいい感じだったのですが・・・・あるいは、緻密に組み立てられた音楽にはDupreeには合わないのかもしれません。
その他の曲では、1,6へのMike Sternの参加が話題になっていましたが、私はMike Sternをちゃんと聴いておらず、私には猫に小判でした。

しかし、アレンジやプレイヤーによって曲の雰囲気は変わるものですね・・・・改めてじっくり原曲と聴き比べたいと思います。