Michael Franks / The Art Of Tea (1975) - Larry Carlton
Whisper Voice とCrusadersの邂逅。思わずため息が出るプレイです
A1. Nightmoves 2. Eggplant 3. Monkey See-Monkey Do 4. St. Elmo's Fire 5. I Don't Know Why I'm So Happy I'm Sad B1. Jive 2. Popsicle Toes 3. Sometimes I Just Forget To Smile 4. Mr. Blue '75年リリースの2ndです。1stはマイナーレーベルからのリリース(長年レコード漁りをしていますが、未だに店頭では見ておりません)であり、本作が実質的なメジャーデビュー盤と言えるでしょう。しかし、バックはJoe Sample(Key), Wilton Felder(B), Carlton(g)のThe Crusadersに加え、Michael Brecker、David Sanborn(sax)という超豪華な顔ぶれです。(3rdのSleeping GypsyもCrusadersでした)プロデューサーのTommy LiPumaの惚れ込み、入れ込みが伺えます。主役のFranksも、それに臆することなく、自身のペンによる美しい作品を独特のウィスパーヴォイスで淡々と歌っています。よくアンニュイと評されますが、歌も演奏も言葉だけでは語れない深さがあり、アルバムの隅々まで染み渡っているように感じられます。3rdを先に買って、その良さに目覚めてから本作はじめ、一連のアルバムを集めました。(CD最初のおかげでほとんどワンコインのエサ箱から入手しました。)モノトーンで統一されたジャケットもおしゃれで、70年代中盤ながらオーディオ的な観点での音の良さも格別です。
<ギターの聴きどころ>
全曲Carltonがプレイしています。 針を下ろした瞬間聴こえるA1のギターがなんともエロい!Barbra StreisandやJohn Klemmerでのプレイや、自身の(It Was)Only Yesterdayと並ぶ官能的プレイです。この曲を1発目に持ってくるとは冒険ではないでしょうか? 一転して軽快なA2はアコギとジャズトーンを左右で使い分け、組み立ても見事です。 FunkyなA3では、単音カッティング中心でGrooveを作っています。 哀感漂うA4でもアコギと官能的なプレイを使い分け、それぞれにベストなプレイで曲に彩りを添えています。 爽やかさも感じるA5では、右チャンネルのオブリが印象的です。特徴的なサウンドですが、フロントピックアップでブリッジ付近で軽くピッキングするとこのような音になります。(強くピッキングするとT-Bone Walkerになってしまいます。) JazzyなB1、B2では、少ない音数で複雑なコード感を醸し出し、時折挟み込むオブリも見事です。 シャッフルのB3では、影響を受けたと語るB.B.Kingを彷彿とさせるフレーズを交え、この頃にはあまり表に出していないBluesyな一面を垣間見せています。 ドラマチックなスロウのラストB4では、必要以上に音を出さないバッキングで締めます。 一枚通して聴くと、バッキング、ソロともCarltonの引き出しの多さと、それを最適に当てはめていくセンス、そして歌心溢れる無駄のないプレイに思わずため息が漏れてしまいます。この時まだ20代後半ながら、次作とともにCarltonのベストセッションプレイの一つと言えると思います。(Carltonの場合、ハズレはないですが) 裏ジャケにはモノクロ写真ながら愛機335を弾く姿も写っています。
Emotional度 | ♡♡♡♡ 静かな情熱です。炎でいえば青白色 |
Bluesy度 | ♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡♡ |
酒のお供度 | ♡♡♡♡♡ |
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