The Crusaders – The 2nd Crusade (1973) David T. Walker, Larry Carlton

三人のギタリストが個性を発揮しています。

A1. Don't Let It Get You Down
2. Take It Or Leave It
3. Gotta Get It On
4. Where There's A Will There's A Way
5. Look Beyond The Hill

B1. Journey From Within
2. Ain't Gon' Change A Thang
3. A Message From The Inner City

C1. A Search For Soul
2. No Place To Hide

D1. Tomorrow Where Are You?
2. Tough Talk
3. Do You Remember When??




The Crusadersの'73年の作品です。これ以前にも数多くの作品をリリースしているクルセですが、Blue Thumbからの2枚目ということで"2nd"をタイトルに冠しています。プロデュースは”1”同様、Stewart Levineがプロデュース、四人のメンバーに加えて「Friends」としてこれまた前作同様、Arthur Adams, David T. Walker, Larry Carltonが参加しています。前作参加のChuck Raineyは不参加で、本作でのBassは全てWilton Felderと思われます。
2枚組で13曲もあり、フルメンバーによる余計な装飾のない骨太な曲ばかりで、通して聴くと少し聞き疲れするほどの充実ぶりです。歌モノなど1曲もなく、"Street Life"以降に見せるポップな一面は微塵もありません。
二つ折りジャケットのデザインも内容と同じく重厚で骨太、そもそものレコードの重量もあり、CDやストリーミングでは味わえない所有満足感があります。私が購入した90年代からつい数年前までワンコインで買えたとは、夢のようです。最近はアナログ回帰が進んでいるようで、タマ数も減り、値段も跳ね上がっています。


<ギターの聴きどころ>

さて、充実の13曲、三人の友人たちの参加と役割分担はいかがでしょうか?個別曲のクレジットはありませんが、聴いた限りでは、Arthur Adamsが左、David T. と Carltonが曲によって右を分担していると思われます。
A1,右はフェイズがかかったコードリフ、左は艶やかなサウンドでのシングルトーンやダブルストップです。
左はDavid T.かとも思いましたが、フレーズ的にAdamsと思います。
A2、左はAdamsによるWahのカッティング、右はバネの効いたカッティングとチョップ奏法のオブリで、これぞDavid T.といえるしなやかかつFunkyなプレイです。二人のコンビネーション、ライブで目の前で聴いたら凄そうです。
重いドラムとベースに乗ってキレのいいコンビネーションのA3,チョーキングも交えたブラッシング主体の左のAdamsに対し、右もシングルトーンとコードを組み合わせてFunkyに迫ります。David T.っぽくもありますが、Carltonと思います。
ヘヴィなミディアムのA4は左右ともWahトーン、左のAdamsは比較的シンプルにコードを刻んでいるのに対し、右はイントロなどフレーズに変化をつけています。Wahでわかりにくいですが、David T.でしょうか?
比較的軽快なイメージのA5、右はあえてミュートを使わないAdamsのジャラジャラカッティングで、左はスタッカートを基本としつつ、ヒネリも加えたプレイ、これはDavid T.でしょう。
不協和音のハーモニクスも駆使して怪しい雰囲気でスタートするB1、右のドライブサウンドでのテーマユニゾン、チョーキング交えたプレイはCarltonでしょう。クルセはCarltonにこの曲のようなRockテイストも求めたのかもしれませんが私めにはToo Muchです。
B2は、イントロから右に躍動感のあるカッティングが入ります。ダブルストップのグリッサンドやチョップ奏法などの遊びでヴァリエーションを加えていて決して一本調子にはしていません。
ミディアムスロウのB3、ローズとホーン隊の掛け合いに、左とセンター(途中から右に移行します)ギターが絡みます。ところどころでWahも駆使した左はAdamsで、ヴァイオリン奏法やダブルストップ、チョーキングなどによるメロウかつ多彩なプレイがCarltonです。左も時々Carltonぽく感じますが重ね録り、あるいはAdamsがインスパイアされた?
メロウ風味のC1、ここでの左のカッティングやリフなど控えめながら考えられたバッキングはCarltonと思います。
C2もメロウな印象の曲で、イントロからのヴァイオリン奏法が浮遊感を演出しています。本作で唯一とも言えるギターソロでは、フロントピックアップでありながら、ブリッジ付近でピッキングして粒立ちを強調したサウンドも駆使し、長尺なプレイに変化を加えています。この曲では左のAdamsのWahカッティングは蛇足に思えるのですがいかがでしょうか?
D1もAdams(ドライブサウンドのリフ)とCarlton(空ピック)の組み合わせと思います。5分間、変化をつけずに同じフレーズの繰り返しで押し通すところに勢いを感じます。
ローズのハードな響きでスタートするD2、ここでは右がDavid T.のバッキング、センター → 右がテーマの一部も担当するAdamsです。AdamsはDavid T.やCarltonほどの一聴してわかる個性ではありませんが、なかなかクセの強いプレイで、後半に本領発揮するDavid T.との掛け合いは聴き物です。
そこはかとない哀愁を感じるラストD3、左はAdamsのコードバッキング、右は一部テーマも担うCarltonのカウンターメロディでフレーズ、サウンドともなんとなくDavid T.っぽいところもあり、メロウです。後半、ソロをAdamsにトスし、唐突に終わってしまいます。作者のSampleが「弾きすぎるんじゃねえ!」と止めたのでしょうか?
3人のギタリストがそれぞれ個性を発揮していて、ギター面でも楽しめる作品です。BGMで聞き流せる作品ではありませんが、ギタリストの方々、ぜひ聴いてください。






Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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