The King Cole Trio / Vocal Classics (1955) – Oscar Moore, Irving Ashby

セッションギタリストの先駆けのMellowな名演です

A1. Sweet Lorraine
 2. What Can I Say After I Say
 3. I'll String Along With You
 4. For All We Know
 5. This Is My Night To Dream
 6. Embraceable You

B1. Little Girl
 2. If I Had You
 3. It's Only A Paper Moon
 4. Makin Whoopee
 5. I'm Through With Love
 6. Too Marvelous For Words



The King Cole Trio の'55年のオムニバス盤です。録音は40年代とのことで、80年近く前の内容になります。昨日、kawa様よりKenny Burrellの歌伴曲を紹介していただき(どれもいい曲&素晴らしいプレイでした)、急に本作を思い出して、セッションギタリストの先駆けとしてのOscar Mooreの甘いプレイを聴いていただきたく、ここで取り上げる次第です。
Nat King Coleというと、Stardust やL-O-V-Eをひいおじいちゃんが聴いていた!という感じかもしれません。最近(と言っても91年ですが、私にとっては最近なのです)娘さんのNatalie Coleとのバーチャルデュエットが記憶に新しい方もいるかもしれません。元々ピアニストとしてキャリアをスタートさせたそうですが、歌もイケるとのことで、40年代はピアノトリオ(ピアノ+ベース+ギター)でJazzの歌と演奏をしており、本作はそのうち、歌物を集めて作られたとのことです。(姉妹版で、Piano Classicsもあります)Coleの声は単に甘いだけではなく、苦味も粘りもあり、美しいメロディを陰影をつけて優しく歌っています。ドラムがいれば曲としての完成度は上がったのかもしれませんが、3人での歌と演奏、物足りなさを全く感じさせません。
本作は、B5をChuck Berryがサントラでやっているのを聴いて興味を持ち、Coleもやっていることを茶水Unionの店員さんに教えてもらって、その場で在庫のあったボロい中古版を買いました。初めて買ったColeのLPでした。


<ギターの聴きどころ>

ギターは、Oscar Mooreが10曲、Irving Ashbyが2曲弾いています。(B1,B2)
エレキギターの誕生が1930年代で、Charlie ChristianやT-Bone Walkerの影響で、すでに40年代には普及していたのでしょうか、本作でも甘いサウンドを聞くことが出来ます。(完全なアンプリファイズサウンドというよりはおそらくES150あたりで生音と半々ぐらいで録音している気もします。)
プレイは、歌のところではコード、歌の合間にオブリ、後半に短いソロを入れるという構成が多いです。
二人とも、先駆者のCharlie Christianの影響を受けたとのことですが、歌物ということもあって、どの曲のソロもシンプルでよく歌うプレイです。
特に気に入っているのは、購入のきっかけとなった感動的なバラードでのB5のソロで、美しいフレーズを起承転結のストーリーを持たせたように繋ぎ合わせていて、Carltonにも負けていない流暢で甘いプレイです。
アップのB3などでは、スインギーなフレーズを聴かせます。
本作から興味を広げてOscar Moore Quartetも聴きました。ドラム+ベース+ピアノの構成で、スイング感のあるよく歌うプレイは聴きごたえあります。しかし、自分はColeのバックでのシンプルなプレイが好きなようです。Mooreは、60年代には音楽業界を離れレンガ職人になったとのことですが、セッションギタリストの先駆けとして長く歌伴の活動を続けてほしかったところです。
Nat King Cole以外の歌伴の参加盤、もっと探して聴きます。
Emotional度♡♡♡ 
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡♡ 
酒のお供度♡♡♡♡♡ 

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