吉田美奈子 / フラッパー (1976) – 松木恒秀

物凄いエネルギーを感じるアルバムです。ここまで熱い松木さんは珍しいのでは?

A1. 愛は彼方
 2. かたおもい
 3. 朝は君に
 4. ケッペキにいさん
 5. ラムはお好き?

 
B1. 夢で逢えたら
 2. チョッカイ
 3. 忘れかけてた季節へ
 4. ラスト・ステップ
 5. 永遠に
 


 
吉田美奈子さんの'76年の作品です。3作目にあたり、1枚目やこれ以降のLPではほとんどの曲が吉田さんの自作であるのに対し、本作では大半の作曲を山下達郎さんや細野晴臣さん、佐藤博さんなど当時の気鋭が担っています。Wikiによれば、吉田さんをシンガーとして売り出したかったというプロデューサーの村井邦彦さんの意向のようで、委ねる相手は吉田さん自身が選んだとのこと、各自の持ち味が活きたヴァラエティに富んだアルバムとなっています。レコーディングやミキシングにも力が入れられたものと思われ、全体を通したダイナミクス表現が半端ないです。(初めて聴いた時、A1が静かに始まったのでアンプのヴォリュームを上げたら途中で急にデシベルが上がったので、慌ててヴォリュームを絞ったほどです)
バックは、ティンパンアレー組と、松木さん・ポンタさん・大仏さん組が担当しています。曲、ヴォーカル、アレンジ、達人たちの演奏、それらがシナジーを生み出していて物凄いエネルギー量を感じます。
90年代の半ば、荻窪の小さなレコード店で、裏ジャケの個別曲のクレジットに松木さんの名前を発見して、ボロいジャケットの中古盤を比較的リーズナブルな値段で購入しました。




<ギターの聴きどころ>

クレジットによれば、松木さんはA3,A4,B2,B5の4曲に参加しています。
A3、作曲者である佐藤博さんのRhodesに続いて、Wah Wah Watsonばりの効果音が左右を飛び交い、コードリフに繋ぎます。ヴォーカルのバックではミュートやコードのグリッサンド、トリル、ダブルストップなどを駆使した華麗な松木バッキングで、右のロングトーン主体のWahオブリが重なってきます。後半で"Weeping Harp"妹尾さんのハーモニカが入ってきて意表を突かれましたが、アンプリファイズされたサウンド、全く違和感ありません。
続くA4、2分に満たない短さですが、ポンタさんのドラム始め、鬼気迫るGrooveを感じます。ハープシコード、クラビネットなど似たようなサウンドが重なりますが、チョーキングも交えた左のストラトサウンドが松木さんのプレイでしょう。男声の合いの手が達郎さんだというのも意外でした。
B2のFunkも佐藤博さん作です。ポンタさんと大仏さんのヘヴィなボトムに乗って、右はカッティング、左はオブリを基本としながらエフェクトも駆使したフリーなバッキングでウネリを加えます。アドリブソロもペンタ中心にBluesyに歌います。ここまで熱くプレイする松木さんは珍しいのではないのでしょうか?
ラストのB5もA3同様、静寂と湧き上がるマグマのようなエネルギーが混在した曲で、右の吉川忠英さんのアコギにバッキングを任せ、左から緩急のあるフリーなオブリで盛り上げています。
この作品でのプレイ、後年の侘び寂びプレイと比較すると、激しさを感じるプレイで、ポンタさん、大仏さん、佐藤さんとともにアルバム全体の温度を上げています。
ティンパン組での鈴木茂さんのバッキング、ソロも聴きどころたっぷりです。聴くたびに圧倒される1枚、最近はアナログでも再発されているようですのでぜひ聴いてください。





Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

すみません、Youtubeは日本ではNGでした。(数少ない海外の読者の方のために掲載します)

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