岡本一生 / ムーンライト・シンギング (1978) – 松木恒秀

A5の味わい深いプレイに酔いしれてしまいました。

A1. アトリエ
 2. 逃げ道
 3. ムーンライト・シンギング
 4. 想いつめた冬
 5. 酔いしれて

 
B1. ムーン・マジック
 2. 街の生活
 3. どしゃぶりの街角
 4. このままで
 5. ナイトスタンド
 


 
岡本一生さんの'78年の作品です。シンガーソングライターとしてのデビュー盤で、アレンジャーに萩田光雄さん(A1,A3,A4,A5,B4,B5)、佐藤博さん(A2,B2)、山下達郎さん(B1,B3)を招き、その人脈もあって、豪華なメンバーがバックアップしています。暗めの青を貴重としたジャケットデザイン通り、夜をイメージした落ち着いた曲が多く、語るように歌う岡本さんのヴォーカルと相俟って独特のアダルトな感覚が全編に漂います。70年代ですでにAOR的な雰囲気を持った作品が作られたことに驚きました。夜中に一人で一杯飲みながらまったりと聴くといい感じです。
少し前までは、3枚目の"Five O’clock Shadow"(こちらにも松木さんが参加しています)同様、見かける頻度も少なく、高値がついていた岡本さんの作品ですが、幸いにも私めは値段が上がる前に1000円ぐらいで購入することができました。'05年頃だったと思います。

<ギターの聴きどころ>

裏ジャケには、詳細なクレジットが記載されており、松木さんは、A4,A5の2曲に参加しています。
A4はバッキングの主体は吉川忠英さんのアコギで、途中から入る左のオブリは音量も小さく音数も少ないですが、紛れもない松木さんのプレイです。
A5もスロウです。冒頭から得意技のダブルストップのスライドによるオブリが曲のムードを決めます。その後も音の薄いバックの間を泳ぐように、タメタメのチョーキングやダブルストップで主役のヴォーカルにレスポンスします。シンプルなサウンド、必要な音しか弾かないプレイ、タイトル通り「酔いしれて」しまう美しさです。
ギターは他に、エレクトリックで矢島賢さん (A3,B4,B5)、 鈴木茂さん(A2,B1,B2,B3), 山下達郎さん (B1, B3)、アコギで吉川忠英さん(A1,A4,B3)が参加しています。矢島さんのjazzyなバッキングや味わい深いオブリ(ロック系のプレイが得意な人かと思いましたが、さすが引き出しが多い!)や鈴木さんのソロ(A2のトーキングモジュレーター、B1のスライドプレイ、B2のアコギ)など耳に残りますが、印象的なのはB1での山下達郎さんのキレのいいカッティングです。「自分はギタリストではない」と公言していますが、素晴らしいカッティングプレイヤーだと思います。超有名なSparkleの4年も前のプレイですが、曲の色とGrooveを決める重要なパートを担っています。
最近は2000円台まで値段も下がってきていますので、ギターファンの方もぜひ聴いてください。
(本ブログを書くにあたって調べたらLPが再発され、Amazon Musicで配信されていました。それで値段がさがっていたのですね。)



Emotional度♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡♡

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