タモリ / ラジカル・ヒステリー・ツアー (1981) – 松木恒秀

予想外にメロウでした。

A1. ラジカル・ヒステリー・ツアー
 2. イケネコ・ドドネコ
 3. 雨降り午後
 4. ミンク・タッチ
 
 
B1. 狂い咲きフライデイ・ナイト
 2. スタンダード・ウィスキー・ボンボン
 3. クレイジー・ガイ・ライク・ミー
 4. 惑星流し
 5. ラジカル・ヒステリー・ツアー:テイク2



 
 
タモリの'81年の作品です。現在は司会者として大御所の地位を確立していますが、この当時はコメディアンとして活躍していたと記憶します。4枚目のアルバムで、アレンジとバックはプレイヤーズとスクエアという当時の人気フュージョンバンドが務め、作曲も両バンドのメンバーに加え、当時も人気絶頂だった若かりし桑田さんが2曲書いています。プレイヤーズは同時期のタモリさんの冠番組「今夜は最高」のハウスバンド、スクエアはタモリさんのツアーのバックバンドも担当したとのことで強い繋がりがあったようです。内容はタモリさん自身のヴォーカル曲とそれに関連するコメディドラマ(ハードボイルド気取りの探偵が主役?)の組み合わせで構成されています。
本作も、"大追跡"と同様、松木さんマニアの大学時代のサークルの友人から借りて聴きました。
タモリさんがJazzマニアであり、トランペッターであることは知っていましたが、このような質の高いアルバムを残していたとは!残念ながら盤の反りで針飛び寸前の状態で、ようやく聴ける状態であったため、後に自分でも買おうと探しに行きました。ユニオンで発見、5000円と高額だったのですが、より良い状態で聴きたいと思い、自分には珍しくレジで入念に検盤したのち購入しました。

<ギターの聴きどころ>

松木さんは、プレイヤーズの面々と共にA2, B1, B2, B3に参加しています。
サルサのリズムを取り入れたA2,歌詞は当時のタモリさんのお得意芸であった無意味な言葉の羅列ですが、リズムに乗せていかにも意味があるように聴かせるところがさすがです。そんなコミカルな内容に対し、真剣にプレイしているプレイヤーズもさすがです。松木さんは左でリズムカッティング、オブリをプレイし、ソロでは珍しいドライブサウンドとロングトーンでいつもとは違う泣節を披露しています。
B面の一発目は詞も曲もいかにも桑田さんという感じのエロさが漂うミディアムスロウで、松木さんは左から濡れたトーンでJazzyなバッキングにメロウなオブリを交えて妖しいムードを高めています。
続くB2も桑田さん作で、メロウな感じがたまりません。松木さんも左右からメロウ光線を発し、中間のソロでも、情感たっぷりに甘々なソロをプレイします。Gale,Dupree,David T.に加え、エンディング付近の右のオブリはCarltonからの影響を感じました。
ハードボイルドな哀愁溢れるB3では、ヴァイオリン奏法でイントロを飾り、英語での歌が始まると左から寄り添うように松木バッキングに入っていきます。ピンポイントで入るハーモニクス奏法はCarltonっぽく、エンディングのソロはGaleオマージュですが、いずれも松木さんのスタイルとして確立されています。
スクエアがバックを担当する他の曲もメロウ路線のA3,A4など時代を先取りした曲で、聴きごたえある曲ばかりです。
タモリさんのヴォーカル、決して上手くはありませんが独特の味があります。本作、最近は見かける頻度も増え、値段も2000円台まで下がってきていますので、ぜひ買って聴いてください。
でも、個人的には団しんやさんがこれらの曲を歌ったらまた違う出来栄えになっていたのでは?などと勝手に妄想してしまいます。





Emotional度♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡♡ 意外にメロウです
酒のお供度♡♡♡♡

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