石黒ケイ / 女は女 (1978)
珍しくサウンドやプレイスタイルを使い分けています。
A1. 夜の兵士 2. バイオレット・ナイト 3. 曇りガラス 4. うず 5. ケイのブルース B1. 私は玩具 2. 冬の街並 3. ロンリー・キャッツ 4. ひとり暮し 5. 泪の河 石黒ケイさんの'78年の作品です。アレンジは矢野誠さん(A1~A4,B1)とコルゲンさん(A5,B2~B5)で、バックミュージシャンは裏ジャケに記載されており、ご丁寧にコルゲンさんの名前のところで改行されていますので、お二人それぞれの人脈で集められたものと思われ、コルゲンさんアレンジの曲ではPlayers勢で固められています。 同様にPlayersがバックを務めた次作の”潮騒”で初めて石黒さんを聴きレコードを集めました。和ジャズのコーナーにあったり、昭和歌謡館にあったりしていましたが、本作は日本のポップスのフロアにありました、。本作でも、恋多くしかし幸薄い女性の心境を歌った歌詞と、Jazzのテイストも取り入れた昭和歌謡メロディを艶っぽく歌う石黒さんの「色気」が詰め込まれています。大半が石黒さんが作っており、当時20歳になったばかりでスナックのチイママ的な色香と人生観は驚きです。同じ'78年に”微笑みのメロディ”をリリースした真逆のタイプの大場久美子さんと2歳しか違わないことも驚きです。どちらも好みですが!
<ギターの聴きどころ>
松木さんは先述の通り、コルゲンさんアレンジの5曲に参加していると思われます A5,岡沢さんと思われるアコベ(裏ジャケにはc.bと書かれています)でスタートする山崎ハコさん作のJazz歌謡です。松木さんはコードやオブリなど、音数は少ないながら存在感と色気のあるバッキングです。 B2は、強くモジュレーションがかかったサウンド(フェイザーではなくフランジャーでしょうか?)ですが、プレイそのものは明らかな松木節です。せっかくのフューチャー、エフェクト無しの方がニュアンスが表現されて良かったのではと思ってしまいます。 B3はストラトのドライブサウンドによるギターです。右のオブリやソロは納得の泣きのプレイですが、左のコードの流しも松木さんでしょうか? B4、出て行った男への思いを綴った唄で(リアルな歌詞が石黒さんの経験に基づくものなのかはわかりません)、松木さんはところどころ控えめに合いの手を入れて、切なさや寂しさを深めています。 B5もドライブサウンドによるロングトーン多用の泣きのオブリやソロです。ストラトの硬い音が弦が軋むようなピッキングとチョーキングやビブラートコントロールをダイレクトに伝えています。決して速弾きに逃げず、少ない音数で歌い切るところがさすがです。 いつもはアルバムを通して統一されたサウンドやプレイスタイルを貫くことが多い松木さんですが、本作では曲によって変化させ、使い分けていて興味深いところです。 矢野さんアレンジの曲では矢島賢さんと松原正樹さんが担当しています。A1でのストレートなプレイ、A2のMichael Franks でのCarltonっぽいプレイ、BoogieのA3でのRockプレイなどそれぞれに聴きどころあるギターです。 以前は、石黒さんのLPの中でも見かける頻度は低い方だったのですが(値段もやや高めでした)、最近は頻度は上がって値段は下がっています。スマホもSNSもない昭和の浪漫溢れる作品、ぜひ聴いてください。
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡ |
お酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
薄幸の美女度 | ♡♡♡♡♡ |
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