Roland Kirk / Blacknuss (1972) – Cornell Dupree

主役のインパクトが強くて、Dupreeが埋もれている感あります。

 1. Ain't No Sunshine
 2. What's Goin' On ~ Mercy Mercy Me (The Ecology)
 3. I Love You Yes I Do
 4. Take Me Girl, I'm Ready
 5. My Girl
 6. Which Way Is It Going
 7. One Nation
 8. Never Can Say Goodbye
 9. Old Rugged Cross
10. Make It With You
11. Blacknuss


 


 
Roland Kirkの'72年の作品です。サックスやフルートなど多くの管楽器を、同時に、しかもいろいろな吹き方をするミュージシャンで、当時一緒にバンドをやっていた仲間が持っていたライブ映像の”Supershow”で初めて見て度肝を抜かれました。元々Buddy Guy目当てに見せてもらったところ、Buddyに負けずとも劣らない変態ぶり?でした。おちゃらけかと思って見ていましたが、個々の楽器一台を聴くと演奏の技術や歌心はしっかりとあり、単なるイロモノではありませんでした。とはいえ、しっかり聴きこむには少しタイプが違うように思えてレコードを買うには至らず、鮮烈な印象だけが残っていました。その後20数年の時を経て、既にご紹介のギターマガジンのDupree特集号のリストで名前を発見し、本作を探し始めました。見かける頻度も少なく、見つけてもいいお値段、PurdieやTeeも参加し、選曲もSoulのヒット曲のカバーを多く含み是非とも聴いて見たかったのですが、なかなか手が出せずにいました。3年後にJazz1000シリーズとして1000円で再発されたものを購入しました。焦らず待つことも大事なのですね!(待っている間にあっという間に売り切れて中古盤の価格が釣り上がることもあり、買い時が難しいです・・・)

<ギターの聴きどころ>

Bill Withersの1,掠れたフルートのメロディ、「与作」かよ!と思いつつも聴き進めながらインナーを見ると、8月録音と9月録音でバックが分かれており、Dupreeは2〜7、9、10の9月録音にKeith Lovingと共に参加しているようです。ちなみにサブちゃんは1にも参加していませんでした。1,8,11のギターはBilly Butlerです。
Marvin Gayeのメドレー、意表をついてブリッジ部分から入りテーマに進みます。バンドが一体となったGroove感に溢れた演奏です。左がワウ、右がノーマルなカッティングです。
JBもカバーした4,よりムーディーにアレンジされており、ギターは左からコードプレイの合間に甘めのオブリが入ります。
Jr. Walkerのカバーの5、左右からのコンビネーションバッキングで、右からエコーの効いたサウンドでオブリが入ります。このプレイは間違いなくDupreeでしょう。
Tempsの6,イントロはかなりアレンジを変えています。テーマは歌ったりフルートを吹いたりと忙しない感じです。ギターはここでもコンビネーションバッキングでオブリは左です。
自作の6では奇声を発した後、アップでコンビネーションカッティングです。左が細かく刻み、右は大きくリズムをとります。
7では、奇声なのかヴォーカルなのか?のバックで控えめな左右のカッティングです。右はシンコペーションが効いています。
Jackson5の8は主役のアルトがテーマを奏でるバックで、右からシングルノートとコードを組み合わせたバッキングです。
ゴルペル調の9、本人よる長い語りに続いて、アルトののテーマが入り、途中でアップテンポに転じるドラマティックな展開です。後半は、左からWahのカッティング、右からの繰り返しチョーキングで盛り上がります。
10は左はドライブ+Wah、右は艶やかなクリーントーンでのバッキング(これも間違いなくDupreeでしょう。)で、主役に呼応する左の盛り上がりに対し、右は最後まで冷静です。
基本、右がDupreeと思うのですが、一部の曲を除き、もう一人のKeith Lovingとの違いが明確ではありません。あるいはほとんどをDupreeが弾いている?ソロやオブリが少ないこともあり、判別が困難です。


以下は、Dupreeがレコーディングのためにスタジオを訪れた時の妄想です。
(CD=Cornell Dupree, RK=Roland Kirk)
CD:ここがスタジオか!あれ、中から管楽器がいっぱい鳴ってるな?ブラバンがいるのかな?でも呻き声も?(ドアを開ける)
RK:誰だ!ワシの多重奏を邪魔するのは?ギネスに挑戦してたのに!
CD:(わあ、このおっさん、一人で吹いてたのかよ!変人?)ギターで呼ばれたCornell Dupreeと言います。
RK: King Curtisのところにいたやつか?最近引っ張りだこのようやな!BuddyのやつがSupershowで俺より目立とうとしたんでクビにしたんや!あいつのプレイはクレイジーやしな!代わりにお前を呼んでやったで!
CD:恐縮です。(あなたのプレイもクレイジーなのでは?)
RK:早速やけど、ワシのように3本いっぺんにギター弾けるか?
CD:(いきなりこれかよ!)やったことありません。多分無理だと思います。
RK:あかん奴やな!ジミヘンが生きてたらきっとできたぞ!
CD:(いくらジミヘンでも無理だろ!)そうすか?
RK:お前の仲間のPurdieもいっぺんにいくつもタイコ叩くし、Teeだって何個も鍵盤押さえるで!
CD:それを言うなら俺も弦6本一気に弾けますよ!(まあ、いつも多くても2〜3本ぐらいしか弾かないけど)
RK:まあええわ、お前一人では頼りないんで、最近大人気のKeith Richardsちゅうやつも呼んだわ!ストーンズゆうそうやな!Rockやけどね!ジャニーズやないで!スケジュール調整とギャラ支払が大変だったわ!
CD:(KeithはKeithでもLovingだろ!きっと騙されてるよ!俺のギャラは大丈夫だろうな・・・今日は軽くお茶を濁して、これからはこの人の仕事は断ろう!)

フィクションです。毎度毎度、馬鹿な妄想ですみません。





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