パンタ / 走れ熱いなら (1977) – 山岸潤史

RockやBluesをベースとしつつ多彩なプレイが聴ける名作です。R.I.P.

A1. ガラスの都会
 2. あやつり人形
 3. やかましい俺のRockめ
 4. いつもの俺なら

 
B1. 走れ熱いなら
 2. 追憶のスーパー・スター
 3. 人間もどき
 4. 夜明けはまだ
 


 
パンタさんが7月7日に亡くなられました。享年73歳、ご冥福をお祈りします。
追悼の思いを込め、'77年の作品を紹介させていただきます。75年に頭脳警察を解散し、ソロ活動に移行、二作めに当たります。元ソー・バッド・レヴューやバックスバニーの面々などを集めたセッション的な色合い強い作品で、珍しく共作が5曲あります。歌詞の過激さや深さは相変わらずですが、曲の方はバックのテクニシャンの面々の嗜好も反映されているのか、R&BやReggaeなどブラック色も感じられます。パンタさん自身はこの作品をあまり気にってないようで、オフィシャルサイトでも触れていません。
ロックが苦手な私めがパンタさんを知ったのは、新入社員で入社した会社の同期が頭脳警察のファンで勧められて聴いた時でした。自分は政治や社会をテーマとした歌詞を含めピンと来なかったのですが、会社のキャンペンガールであったかとうれいこさんのムーンライトサーファー(オリジナルは石川セリさん)の作曲者でもあると聞かされ、ギャップに驚いてなんとなく記憶に残っていました。5年ほど後、裏ジャケ買いで、山岸さんはじめ豪華なメンバーの名前を発見、良い値段でしたが本作を購入しました。歌詞カードもないのに高いなと思ったのですが、一部の曲での過激な歌詞のせいなのか、もともとついてなかったようです。


<ギターの聴きどころ>

フェイザーのカッティングとタイトなリズムのA1でスタート、5年前に聞いた印象とは異なりましたが、時に吐き捨てるようなヴヴォーカルはそのままでした。山岸さんのギターはGroove感を保ちつつも、オクターブなどJazzyなフレーズを交えたオブリで曲に変化をつけています。
Reggae調のA2では、シングルミュートや裏を強調したカッティングに加え、ロングトーンによる短いソロもあります。
タイトルから想像した曲調とは異なったA3では、シンプルな2拍4拍のカッティングに加え、大きく歌うソロや小技を効かせたオブリで、主役とタメを張る大活躍です。
シャッフルのA4,もろBluesのプレイで盛り上げています。
R&RのB1でも、トリッキーなフレーズを織り込んで弾きまくります。
3連系スロウのB2では、ミュートのアルペジオや2拍4拍のカッティングベースに、変化を織り込んだバッキングとエコーを効かせたソロです。
過激な歌詞のB3では、山岸さんのギターもWahバッキングや弾きまくり吠えまくりのソロで激しくヴォーカルに応酬します。
感動的なスロウのラストでは、ダブルストップやたっぷりタメたオブリで、国府さんのピアノと共に美しいメロディーをサポートしています。
この時期の山岸さんは、Guitar Work Shopはじめとしたさまざまなセッション活動を精力的に行なっており、他にギタリストに対してコンプレックスを感じつつも、貪欲にサウンドやプレイスタイルを吸収しており、本作でも山岸さんのリーダー作なのではと思えるほど多彩なスタイルで弾きまくっています。当時のトップミュージシャンの個性的でGroove感のある演奏、自分の好みとしては、頭脳警察よりも前作(塩次伸二さんも参加し、味わい深いギターを聴かせてくれます)や本作なのですが、パンタさんご本人としては、自分の色が薄まってしまったと感じたのかもしれません。不勉強で、その後の作品を聴いていないので、これを機に探してみたいと思います。









Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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