鈴木宏昌&コルゲンバンド / トリトン (1979) – 松木恒秀

2023年11月14日 2023年11月14日

domon@guitar

1曲は短いですが松木さんの多彩なプレイに溢れています。

A1.プロローグ ~宿命の渦へ~
A2.アトランティス
A3.ポセイドン
A4.攻防
A5.陽光の中で
A6.進め! 旅イルカ
A7.揺れる心
A8.襲撃
A9.咆哮
A10.波間にゆられて
A11.木もれ陽
A12.進撃のマーチ
A13.Go Goトリトン ~水平線の彼方へ~


B1.決意のテーマ
B2.海の情景
B3.挑戦
B4.追憶
B5.ピピ
B6.はるかな想い
B7.陽動作戦
B8.哀愁
B9.かたらい
B10.追跡
B11.断たれた夢
B12.エピローグ ~新たなる旅立ち~
B13.Go Goトリトン ~ニューアレンジ~
 


 
コルゲン（鈴木宏昌）さんの'79年の作品です。手塚治虫さんの漫画を原作として'72年にTVアニメ化、音楽の一部を担当したのがコルゲンさんで、'78年にサントラとして再編集しリリースされました。（市川秀男さん・江藤勲さん・寺川正興さん・杉本喜代志さん・石川晶さん・日野元彦さんなど錚々たる顔ぶれとのことですが残念ながら未聴です。）翌年、コルゲンさんの自主制作版として音楽部分だけを新たにレコーディングしたのが本作です。ミュージシャンは「コルゲンバンド」と記載されていますがまんまプレイヤーズです。（この年にプレイヤーズとしても1stアルバムをリリースします。）権利の問題からジャケット等に画像を使用することができず、白無地にエンボスでタイトルが浮き出たシンプルなデザインです。当初は自主制作盤として5000枚のみの制作、裏ジャケには通し番号が打たれていたとのことです。ライナーノーツにはスタッフからのメッセージ、個別曲の説明、ミュージシャンのクレジットが書かれています。なんと両面で26曲もあります。
本作は、しばたはつみさんや”大追跡”を貸してくれた学生時代の音楽仲間が教えてくれました。しかし、当時の市場価格は5桁とのこと、探してもしばらくの間見つけることはできませんでしたが、2年前、ようやくユニオンのサントラコーナーで発見、4800円の値段に迷いましたがここを逃すともう出会えないのではとの思いから購入を決断しました。裏には通し番号はなく、どうやら人気が高いため追加で増版されたもののようです。なお、アニメは朧げな記憶があります。（エンディングでのクラゲのセリフなど、結構怖いシーンが多かったような気がします。）

＜ギターの聴きどころ＞

最初の3曲、A2での右の効果音的なサウンド以外はほとんどギターが聴こえません。失敗したかなと思っているとJazz FunkのA4、タメたチョーキングフレーズが切り込んできて、重みもキレもあるカッティングに続きます。待ってました！思わず唸ります。
続くA5でも爽やかな曲調にもかかわらずGaleばりのザクザクカッティングを刻みます。リズム隊のキメも本気度高いです。
A8の後半でディストーションサウンドが聞こえてきましたが、続くA9はリズム隊を伴うヘビーなリフに続き、珍しく弾きまくりのソロでハードロック調です。
スロウのA11では、オクターブ奏法を駆使したメロウなプレイです。とろけます。
テーマ曲だったA13はオカリナのメロディを聴いた瞬間懐かしさを感じましたが、いつものオブリやタメとツッコミの松木節が続き、原曲のイメージが上書きされて消えてしまいました。原曲もこんなにドラマティックな演奏だったのでしょうか？
展開の目まぐるしいスリリングなB3、ここでのカッティングにも痺れます。ドラムもPurdieばりのオカズです。
続くB4ではオクターブやダブルストップによるメロウバッキングに一変します。
B5はハンマリングやプリングとダブルストップを組み合わせた自在な松木バッキングです。
FunkyなB7、ここではトレブリーなサウンドで切れ味鋭いサウンドでのカッティングからファズサウンドのソロに続きます。
穏やかなB9もコードにハンマリングやプリングを組み合わせ、シングルミュートやオブリを交えた味わい深いプレイです。
B10もアップで、ミュートやブラッシングを効果的に使ったスリリングでスピード感のあるカッティングです。
アルバムを締めくくるB13でも小音量ながらカッティングやオブリなど、多彩なプレイをしつつ絶妙なノリの良さを発揮しています。
1曲が短い（26曲もあるので当たり前ですが）こともあり、あっという間に両面聴いてしまいました。ギターが入ってない、あるいは目立たない曲もありますが逆にメリハリがついているように感じました。珍しいファズサウンドまで飛び出した多彩な松木さんのプレイ、最近はAmazonでも再発CDが買えるようなのでファンの方はぜひ聴いてください。（岡沢さんと渡嘉敷さんのコンビネーションも素晴らしく、プレイヤーズファンの方もぜひ聴いてください）