Archie Shepp / Attica Blues (1972) – Cornell Dupree

メッセージ色の強い作品、Dupreeのギターもいつもほど軽快ではありません。

A1. Attica Blues
 2. Invocation: Attica Blues
 3. Steam, Part 1
 4. Invocation To Mr. Parker
 5. Steam, Part 2
 
 
B1. Blues For Brother George Jackson
 2. Invocation: Ballad For A Child
 3. Ballad For A Child
 4. Good Bye Sweet Pops
 5. Quiet Dawn

 
 
 

Archie Sheppの'72年の作品です。Impulseからの2作目であり、前作より、それまでのFree JazzからNew Soul路線に転じ、本作はA1などさらにメッセージ色を強めた意欲作であり、彼の代表作の一つです。
80年代の終わり頃、当時一緒にバンドをやっていた友人の家に本作があり、裏ジャケにDupreeの名前が書いてあったので、借りて聴いたのが初めてです。内ジャケには参加ミュージシャンのモノクロ写真個別曲のクレジットがあります。当時は歌詞や制作された意図や背景などを知らずに聴きましたが、歌も演奏も、(ラストの子供のヴォーカルも)鬼気迫るような緊迫感と深すぎる情念を感じ、何となく怖くなったことを覚えています。調べてみると政治的メッセージが強い作品とのこと、自分は音楽にそういうものを求めていなかった(今でも政治的な歌詞などは苦手です)上に、Dupreeも自分の望むようなプレイではなく、カセットテープに録音はしましたがあまり聴くことはありませんでした。その後、90年代の中頃だっtかと思いますが、ギター雑誌などでDupreeの特集で参加代表作として取り上げられており、Dupreeの名演代表作の取り扱いに違和感を覚えつつも、テープも捨ててしまったので改めて探し始めました。USオリジナル盤はバカ高だったので比較的安いリイシュー盤を立川の珍屋で購入しました。

<ギターの聴きどころ>

クレジットによると、DupreeはA1,A3,A5,B3に参加しています。
A1, Dupreeにしては軽快感を感じさせないWahのカッティングでスタートし、コーラスやヴォーカルが入ってきます。絶叫とも言えるヴォーカルのシャウトのバックでもFunkのビートに乗せたカッティングが続きます。囚人の暴動と力による鎮圧の事件ををテーマにしたということですが、アップのビートでありながら重さを表現しきっています。
語りを挟んでのA3,A5もスロウでありながら、リバーブ感を感じさせない乾いたサウンドが生々しさを感じさせ、音数の多いドラムに秩序なく重なるストリングスやサックスに甘さよりもヒリヒリくる辛さを感じます。強烈な音の洪水の中、Dupreeのギターはほとんど聞き取ることができません。
美しいバラードのB3、Dupreeは右からのダブルストップのスライドやコードの流しなどの得意のバッキングでヴォーカルや主役のサックスに寄り添うようにプレイしています。盛り上がりに合わせて中指トレモロピッキングも登場します。
冒頭のFunkからラストの子供のヴォーカル曲まで、強烈な印象を残す1枚でした。ストーリーのあるコンセプトアルバムなのでしょうが、1枚通して聴くとグッタリ疲れるほどの緊張感に溢れています。
なお、 Dupreeは次作の”The Cry Of My People”にも2曲参加しています。(自分はこちらの方が好みです)
合わせて聴いてみてください。







Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡ 
Mellow度♡♡♡
酒のお供度♡♡ 飲みながら聴く盤ではないかも?

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