Cornell Dupree – Shadow Dancing (1978)
原曲の美しさを活かしつつ、全ての曲でDupree節です。
A1. Shadow Dancing ~ Last Dance 2. The Closer I Get To You 3. On And On B1. Hey Girl 2. Peg 3. Two Doors Down 4. The Creeper Dupreeの'78年の作品です。リーダー作としては3枚目となります、1枚目がR&B、2枚目がDiscoのカバー、そして本作はヒット曲のカバーを中心に選曲されています。バックは、N.Y.の盟友達がジャケットの内側に書かれています。(ピアノが名オルガニストのJimmy Smithであるかどうかは分かりませんでした) 私が中古で買った日本盤のライナーノーツには、「Stuffではやり尽くした」ため、新たなフィールドで活躍すべく本作をレコーディングした、というようなことが書かれています。新たなフィールドという意味がバンドではなくソロ活動に力を入れるということなのか、カバーインストを演ることなのかまでは書かれていませんが、結構酷評され、結果として本作以降、Who It is 名義での次作まで10年空くこととなります。(Gadd Gangの1stまでは8年)80年代前半は、セッションマンとしての活動も限られたものになっており、参加レコードも多くありません。一方、何かと比較されるGaleは、Stuff解散後に日本規格盤含め立て続けにリーダー作を出し、Grover Washington Jr.のWinelightはじめヒット作に参加し知名度をあげていましたので、活動面では明暗が分かれたことになります。 強烈な個性を持つGaleが自身の曲の強さを消すことなくFusionブーム乗った作品をリリースしたのに対し、Dupreeは時流を読み間違えたのでしょうか?才能や技量、個性は、必ずしもセールスや活動と結びつかないのですね・・・
<ギターの聴きどころ>
全曲でDupreeのギターがたっぷり聴けます。何より嬉しいのは、エフェクターを使用しておらず、独特のフィンガリングやピッキングがはっきり聴き取れることです。 左のバッキングも自身でプレイしています。 Bee GeesのカバーのA1から始まります。ブームが去ってしまえばとかく馬鹿にされがちなDiscoミュージックですが、オリジナルもそんなに悪い曲ではなく、キャッチーなメロディとイナタいDupreeのギターのアンバランス感がいい味を出しています。Ndugu & The Chocolate Jam Co.と比べるとなんとのどかなことか!(こちらのギターはDavid.Tです)Donna SummerのDiscoヒットとメドレーで続きます。 A2はRoberta Flackのバラードです。ストリングから始まり、歌のない歌謡曲という感じですが、Dupreeのギターが入った瞬間、Soulインストに変わります。両手が織りなすタメとツッコミとピッキングニュアンス、ヴァイオリン奏法・ダブルストップまで駆使して歌い上げます。 Stephen BishopのA3,原曲のフォーキーな感じが一転し、弾むビート、ホーンの活用などR&B仕立てに変わっています。ここでも3連系のフレーズを取り混ぜながら自在にプレイしています。 多くのカバーがあるCarole KingのB1、パーカンションを主体としたイントロからサックス、フルート、トランペットと続き、主役のギターが入るまで3分近く焦らされます。バックの盛り上がりをクールダウンさせるように淡々と美しいメロディーを奏でますが、2コーラス目以降は独自のタメ、ツッコミ、強弱を使い分けたピッキングで情感たっぷりにプレイします。 Steely DanのB2、凝り凝りの原曲のイントロに対して、ザクッと、贅肉を削ぎ落としたようなアレンジでR&B仕立てに生まれ変わっています。そういえば、Carlton以外、David T.もGaleもDupreeもSteely Danには呼ばれていないのですね。リズム隊はBernard PurdieもChuck Raineyも参加しているのに。クセが強すぎて曲のカラーが変わることを敬遠したんでしょうか? CountryのB4、和やかな中にもそこはかとない哀愁を感じさせるサビのメロディが泣かせます。盟友Hank Crawfordのソロも。 ラストは、自作のシャッフルでBluesyに締めます。 DiscoであれPopsであれ、DupreeのプレイはSoulful,Bluesyなスタイルで一貫しており、強い個性で統一されています。古今の評論家の皆様の「ヒット曲のカバーなどコマーシャルに流れすぎた」という批判は当たらないと思うのですがいかがでしょうか?
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡ |
お酒のお供度 | ♡♡♡♡♡ |
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