H.M. The King Bhumibol Adulyadej & Larry Carlton & Guests / All Star Jazz – The Jazz King. H.M. The King Bhumibol Adulyadej Musical Compositions (2006)

珍盤ですがどの曲もハズレなしでCarltonの歌心とテクニックが満喫できます。

 1. Blue Day
2. Candlelight Blues
3. H.M. Blues
4. Love At Sundown
5. Lullaby
6. Magic Beams
7. When
8. Never Mind The Hungry Men's Blues
9. Love Light In My Heart
10. Lullaby (Instrumental Version)
11. Celebration




H.M. The King Bhumibol Adulyadej / Larry Carlton & Guests - All Star Jazz – The Jazz King. H.M. The King Bhumibol Adulyadej Musical Compositionsと題された72年の作品です。タイの国王であったH.M. The King Bhumibol Adulyadej(ラーマ9世)が作曲した音楽(11のみCarlton作)をCarlton監修の元、ゲストパフォーマーにより録音された在位60年を機に制作された企画アルバムです。決して安定していたとは言えない政情下にあって70年以上在位し、国民の敬愛を集めた国王である一方、多趣味なアーティストでもあり音楽面ではJazzとサックスを愛し多くの著名なJazzミュージシャンとも共演しているようです。
本作もタイトル”Jazz King”の示す通り、Jazzを基調とした作品が集められ、Carltonはじめ、Abraham Laboriel, Abraham Laboriel Jr., Earl Klugh, Ed Cherney, Greg Mathieson, Harvey Mason, Jeff Babko, Michele Pillar, Nathan East, Tom Scottといった名うてのミュージシャンが演奏しており、全体的にはレイドバックしたソフトな仕上がりとなっています。
発売当初はタイ国内でのリリースであったようで私は2018年の再発時まで存在を知りませんでした。新宿ユニオンでFusionコーナーのCarltonのところに置いてあるところを発見、物珍しさだけではなく、豪華なメンツに驚き即刻レジに向かいました。

<ギターの聴きどころ>

どんな内容なのか興味津々でCDをトレイに入れると、Carltonのアコギがよく歌うSmooth Jazz調の音楽が流れてきました。
続く2では335と思われるナチュラルトーンでオクターブ奏法などを駆使しつつJazzyかつBluesyに歌い上げています。
Bluesを冠するタイトルが続く3では再びアコギでBluesyなプレイが展開されます。後半などはなかなかハードなプレイです。スキャットはNarhan EastでまるでFourPlayのようです。
4もJazz Bluesですが軽快な曲調で、カールトンのテクニカルかつリズミカルな流れるようなプレイが見事です。
5はMichele Pillarが歌う優しさに溢れた子守唄でCarltonのアコギソロも短いながら一際メロウです。
6のスロウもアコギで、淡々とプレイされているように思えましたが、繰り返し聴くと歌心に溢れたプレイが沁みてきます。
7も335によるタガれるようなプレイです。
オールディなスロウの8はオクターブによるテーマ、Jazzyなソロが印象的で超一流のJazzプレイヤーであることが再認識できます。
メロウなスロウの9はEal Klughとの共演で、Carltonはアコギ、エレクトリックを使いわけ、Klughはいつも通りガットでメロウに歌い上げています。
10は5インストバージョンです。ここでもCarltonのアコギはシンプルなプレイでありつつヴォーカル以上に歌っています。Michele Pillarに提供した”Emotion Wound Us So”をインストでプレイしたライブをふと思い出しました。
11は在位60周年を記念してCarltonが作ったインストで、軽快なリズムに乗って弾けるような、しかし流暢なピッキングで弾き切っています。
全11曲、タイトルを見ずに聴けばCarltonのアルバムだと思ってしまうほど強いCarlton色を感じました。とても丁寧に作り込まれていてどの曲もハズレなし、ギタープレイヤーとしてだけではなく、プロデューサー、アレンジャーとしての力量も十二分に発揮されています。なかなか見ない珍盤ですが、Carltonファンの方ぜひ聴いてください。



Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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