Lucky Peterson / Organ Soul Sessions: Mercy (2009) – Cornell Dupree

円熟の域を超えた素晴らしいDupreeのプレイが聴けます。

 1. Mercy
2. Son Of A Preacher Man
3. Stolen Moments
4. Tell It Like It Is
5. I Walk The Line
6. The Sidewinder
7. Yellow Moon
8. Rainy Night In Georgia
9. Me And Bobby McGee
10. I Am So Lonesome I Could Cry
11. I Can't Stand The Rain







Lucky Petersonの'09年の作品です。オルガンコンボによる新旧のR&B,Jazzのカバー集が3枚まとめてリリースされ、そのうちの1枚となります。それまで聴いていた'90年代のCDよりオルガンをプレイすることは知っていましたが、どちらかというとギター&ヴォーカルによる新世代BluesManのイメージが強く、本作ではギターもヴォーカルも他のミュージシャンに委ねてオルガン(Hammond C-3)演奏に専念しているので気がしました。しかし、本作購入を機に調べてみると最初に始めたのはオルガン(同じくBluesmanであった父の英才教育?もありなんと5歳より父の経営するクラブで演奏していたしたそうです)で、その意味では自身のキャリアの原点に立ち戻った作品と言えるかもしれません。
'12年頃、ユニオンで本作を発見、中古で1,500円程度であったと記憶しますが、Petersonのギターのみならずヴォーカルも気に入っており("Lifetime"収録の「A Change Is Gonna Come」は感動です)、好きな曲も多数収録、オルガンも好きな楽器の一つなので奮発して購入しました。(ケチなので、1,000を超える中古盤を購入することに抵抗が大きいのです)

<ギターの聴きどころ>

ヴォーカルもギターも自分で弾いていると思っていたので、クレジットを見た時は先述の通り意外な気がしましたが、予期せぬ大きな喜びがありました。なんと6,8,10の3曲にDupreeの名前がありました。
早速聴きます。
Lee Morganの6,楽器編成とビートの違いでよりFunkyかつBluesyに生まれ変わっており、Dupreeもイントロより右から2拍4拍でリズムを刻みます。テーマでは主役のオルガンとユニゾンしたりもします(オルガンと音域やサウンドがかぶっていてあまり目立ちません)。ソロでは、いつも通りリズムに対して微妙にタイミングをずらしつつ、チョーキングやグリッサンドを多用してDupree節で弾き切ります。
セッションギタリストとしての出世曲の1つでもあり、遺作となったソロアルバムでも取り上げていたBrook Bentonの8、あの印象的なイントロから鳥肌ものです。オリジナルと同様にバッキングで主役に寄り添い、空間を活かしたタメと焦らしのソロで泣かせます。
Hank WilliamsによるCountryの名曲の10,意表を突かれた選曲に思えましたが、CountryとR&Bはアメリカンミュージックとして親和性も高いのでしょうか、原曲とは異なる黒いアレンジにもマッチしています。(余談ながらRay CharlesPercy SledgeなどにもCountryフレイバーを感じます)Dupreeもコードを中心としたフリーなバッキングの後、繰り返しフレーズを多用したソロで我が道を行きます。
この頃はすでに肺気腫を患い体調を崩していたはずですが、3曲とも円熟の域を超えた素晴らしい演奏を聴かせてくれています。
そして、1,2,3,7,11ではRodney Jonesがギターです。'56年生まれでDupreeとは一回り以上の年齢差がありますが、リーダー作も多数リリースしており、やはり私の好きな「黒い」ギタリストの一人です。本作でも2,7,11のFunk,3のJazzなど的確かつ味わい深いプレイを聴かせてくれています。(多くのJazz-Funkセッションに参加していますのでまた別の機会にご紹介できればと思います)
本シリーズ、3枚バラでもリリースされたのですが、3枚セットでも発売されており、半年後ほどにやはり中古で発見しました。1枚分損したような気がしつつ購入しました。基本同じメンツでDupreeも数曲に参加しています。併せて聴いてください。









Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡♡

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