吉田美奈子/ Light’n Up (1982) – 松木恒秀

フューチャー度は低いですが弾かずに聴かせる円熟のプレイが聴けます。


1.LIGHT'N UP
2.頬に夜の灯
3.LOVE SHOWER
4.風
5.MORNING PRAYER
6.斜陽 (REFLECTION)
7.時の向こう
8.ALCOHOLLER




吉田美奈子さんの'82年の作品です。74年のデビュー以来、ほぼ1年に1枚のペースでコンスタントにアルバムを発表しており、本作は9枚目にあたります。録音は前作の”Monster In Town”同様前年の'81年で、前作と同じThe Playersのリズム隊に富樫春生さんと佐藤 博さんが加わり、Brecker Bro'sやSanbornがブラスでオーバーダビング、N.Y.でミックスダウンされています。宣伝の謳い文句には「日本のレディ・ファンク~ソウル史上の傑作」、「シティ・ポップ名盤」、「アーバンなサウンドに酔いしれる傑作」などの褒め言葉が並んでいます。日本にレコードを買いに来る外国人の方々にもアピールしているのでしょうか?(政治や経済には全く関心を失いましたが、レコードやギターの値段がどんどん釣り上げられていき、日本人を軽視して外貨を稼ごうとする円安やインバウンド政策にはほとほと閉口しています。ギターなんぞ、数年前の倍以上の機種がザラにあります。日本なのに、日本人が犠牲になっているような・・・・)
閑話休題。にもかかわらず、中古相場でも常に高値が続いている吉田さんの作品の中で、唯一1,000円以内で購入できた作品です。'00年頃だったかと思いますが、ブックオフの中古CD安棚に無造作に置かれているものを発見、ケースの割れや汚れがありましたが、レジで確認させてもらったところ盤面は綺麗だったのでそのまま購入しました。

<ギターの聴きどころ>

ギターは松木さんと土方さんです。
思いドラムとベースが作るビートで1が始まります。ギターは左右のコンビネーションバッキングで、左がシングルノート、右が高音弦でのカッティング中心で、よく聴こえるのは左です。左右ともシングルコイル系と思われ、サウンドもプレイもこれぞ松木さん、という感じはしません。両方土方さん?
続く2は役割交代で、左がカッティング中心、右がシングルミュート中心です。左は音の切り方やGaleに通ずるザクザク感があるのでこっちが松木さんでしょうか?
3も左がカッティング、右がシングルノート中心です。左は丸みのあるサウンドで、頭にグリッサンド等の遊びがあるのでこっちが松木さんでしょうか。右はストラトと思います。
岡沢さんとのデュエットがメロウな4、イントロに右からダブルストップを織り込んだ味わい深いプレイが入ります。その後も極めてひっそりではありますが要所要所でダブルストップが入ります。一方、左はこちらもポイントでのみプレイしている控えめなフリーなコードの刻みです。ここは右が松木さんでしょう。しかし、左右とも弾かずに聴かせる大人のプレイで素晴らしい!
ゴスペル調の5、こういう曲でこそ松木さんに弾いて欲しいのですがギター聴こえません。
ヘヴィなミディアムの6,左がオブリとコードを組み合わせたようなフレーズ、右がそれに反応しての合いの手フレーズとカッティングです。ここでも左がハム、右がシングルの音なので左が松木さんでしょうか?
スロウの7、この曲でも左から少ない音数でのオクターブやダブルストップでハーモニー感を出す味わい深いプレイが聴けます。中盤にはタメタメのオブリも入ります。左は絶対松木さんと思います。左のミュートでの合いの手もいいコンビネーションを作っています。
Rockテイストも感じられるヘヴィFunkの8、右の歪みは土方さんかと思いますが、左のトレブリーなサウンドのカッティングも土方さんでしょうか?でも、次作の"In Motion"も二人のコンビネーションで、そこでのプレイ(ジャカジャカ刻んでいます)との類似性も考えると松木さんのような気も?

本作では、ソロやオブリはブラスや鍵盤に任せてシンプルなプレイに徹している一方で、4や7で少ない音数で存在感を示しつつ曲をメロウに染めてしまう必殺技も聴けます(まだこの時30代半ばだったはずですがすでに円熟の域です。こんなギターを目指したいものです。







Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡♡

気に入っていただけたらフォローお願いします

コメントを残す