渡辺貞夫 / Orange Express (1981) -Eric Gale
Gale とGaleオマージュのギターがたっぷりです(Benson先生まで・・・)。
A1. Orange Express
2. Ride On
3. Call Me
4. Good For All Night
B1. Bagamoyo / Zanzibar
2. Straight To The Top
3. Mbali Africa
渡辺貞夫さんの'81年の作品です。70年代以降、数多くのアルバムをリリースし、海外でのレコいーディングも多い貞夫さんですが、本作もN.Y.録音、現地のトップミュージシャンに加え、Bensonなどのゲストを迎え豪華なメンバーがバックアップしています。内容的にはこれまでの流れを汲むFusionですが、曲のタイトルが示す通りAfricanなテイストの曲もあり、海外のミュージシャンとの交流を通じて音楽的な幅が広がっていた時期のようです。
日本でもかなりの数のレコードが売れたようで、国内のJazz,Fusionブームが去り、メディアがCDに完全移行すると、貞夫さんの70年代中盤〜80年代中盤のLPは安箱の常連となりました。本作もそこから300円で救出しました。安箱、自分にとっては宝の山でした。最近レコードブームが再燃したためか中古盤の相場が上がって来て、安箱内のタマ数も少なく、内容も変わってきてしまい購入数が激減しています。(海外のお客さんで店も混んでいますね・・・)
<ギターの聴きどころ>
この前後のLPは”Morning Island”('80年)や”Fill Up The Night”('83年)を聴いており、Galeが参加していました。本作には裏ジャケにクレジットはありませんが、前後作同様にGaleが参加しているのではという期待を持って購入したところ、インナーに個別曲のクレジットがあり、案の定Galeの名前が書かれていました。B2とB3です。
軽快な曲調ながらリズム隊の重いGrooveも感じられるB2、ホーンやストリングスの返しもゴージャスな中、Galeは左からカッティングで参加しています。シングルトーンのリフは箱鳴りを感じるプレイですが、重ねのカッティングはいつもの重みはほどほどで、キレの良さを感じます。エンディング付近では短いソロ(オブリの延長?)もあり、これまたいつもよりは軽めのピッキングである一方、絞り上げるようなチョーキングとビブラートを聴かせます。
B3も軽快な曲調ですが、ここではGaleはザクザクしたカッティング、シングルノートのミュートプレイ、白玉の流しなど、色々なパターンを駆使したバッキングで盛り上げています。中間部では満を持して2度のソロがあり、コーラス+リバーブのGaleにしては(比較的)現代的なサウンドです。しかしフレーズはタメとツッコミのいつものGale節で、貞夫さんの軽やかなソプラノとも意外にもマッチしています。これがRitenourだったら綺麗にまとめてしまって、Smooth Jazzになってしまうところなのでしょうが、Galeのクセの強さが生きています。
A1,A2ではBobby Broomが、A3,A3,B1ではJeff Mironovがギターです。A1,A2のザクザクカッティングやA2のソロ、A3~B1のミュートプレイ・チョーキングやダブルストップ、ヴァイオリン奏法など、Galeほどのアクの強さはなく(比較的)軽目ではありますが、サウンドもプレイ寄せてきています。(Bobby Broomはヤマハのカタログにも載っていた箱使いで、ここではMironovも箱でしょうか?)そして、Benson先生までもが、カリプソのリズムに乗ってGaleっぽいサウンドでプレイしています。後半は我に帰ったのかオクターブ+αでBenson節となりますが、全体的にはGaleの影響を感じます。恐るべしGaleの影響力!
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡ |
酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
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