阿川泰子 – Gravy (1984) -David T. Walker

まさかのDavid T.参加。当時の日本の勢いが戻ってほしい!

A1. Gravy
2. L.A. Night
3. The Music (Is The Way I Live)
4. Catch It 'Fore It Falls


B1. Meant To Be
2. Red Lights
3. Dance Mary Dance
4. Who You Are





阿川泰子さんの'84年の作品です。'80年代に入りり美人ジャズボーカリストも秋本奈緒美さんや仲村裕美さんなどの若手その他大勢がデビューして来ました。先行組は人気を維持するために目先を変える必要があったのか、絶好調の日本経済の力も借り、本作はなんとL.A.で、しかもビッグネームをゲストに招いてレコーディングされています。内容もスタンダード中心ではなく、黒みが強まったAORといった内容です。個人的には作家とバックコーラスにMiki Howardが入っていたことに驚きました。一連の作品でプロデュースを手がける星加哲さんのセンスの良さが窺われます。阿川さんの甘いウィスパーヴォイスにマッチした選曲とアレンジと思います。
阿川さんの他のLPがエサ箱からワンコインで入手したのとは異なり、本作は4桁はしていたと記憶します。購入したのは'90年代の半ばでしたが、どうやらA2がリバイバルヒットしていたためだったようです。音楽仲間からDavid T.が参加していることを聞いており、リリース時期は逆ながら先に聴いていたDavid T.参加盤の”When The World Turns Blue”が気にいっていたこともあり、4桁に怯むことなく購入しました。

<ギターの聴きどころ>

おしゃれな紙質のインナーにはクレジットがあり確かにDavid T.がゲストミュージシャンに名を連ねていました。個別曲のクレジットまではありませんが、David T.はB2とB4の2曲に参加していました。
”When~”の「Alright,Okay,You Win」に通ずる(もちろん録音はこっちの方が先ですが)はねるリズムのB2,メロウに弾むようなプレイですが、チョッと弾きでの焦らしプレイのイントロからスタートします。ヴォーカルが入ってからも要所要所での絞り込まれたオブリ、ソロもメリハリは効かせつつもそれほど音数は多くありません。しかし、弾きすぎずに曲に抜群の甘さを加え、存在感を示すDavid T.の本領が充分に発揮されています。
アルバムのラストを飾るB4、3連系のスロウで、これまたイントロからメロウなフレーズでスタートします。B2はシングルノート中心したが、この曲ではダブルストップも効果的に使っています。この曲でも決して弾きすぎることはありませんが、絶妙なタッチとブルーノートも交えたフレージングで甘さとスリルが交差する絶妙なプレイです。2曲だけの参加ですが満足度の高い内容です。
他の曲では、Miki HowardのいたSide EffectでプレイしていたKenny StylesとSteve Beckmeierがギターを担当しています。David T.ほどの個性はありませんが、決して出過ぎずにバンドと一体となってGrooveを作り出すセッションマンのようです。後で調べたらSteve BeckmeierはOriginalsなど、弊ブログで紹介した作品含め、所有盤にも結構参加していました。

当時の日本の勢いも感じられる良盤です。今となっては、同時期のいわゆる「City Pop」などと共に、インバウンドで訪れる人が購入し自国に持ち出して聴いていることを考えると、外国人頼みの円安経済政策に疑問を感じるとともに、日本人として寂しさを禁じ得ません。まあ、この時期のアメリカの方々も同じ気持ちだったのかも知れません。





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