Larry Carlton / Kid Gloves (1992)
春のウキウキ感に合う多彩な曲とサウンドです。
1. Kid Gloves 2. The Preacher 3. Michele's Whistle 4. Oui Oui Si 5. Heart To Heart 6. Just My Imagination 7. Where Be Mosada 8. Farm Jazz 9. Terry T 10. If I Could I Would Carltonの'92年の作品です。'88年の忌まわしい銃撃事件で再起不能と言われ(ショックでした)ましたが、必死のリハビリで奇跡的に回復、音楽活動を再開、復帰作にあたります。MCAからGRPへ移籍し、当時Fusionに代わるBGMとして人気がで始めたSmooth Jazz風の作りとなっています。 Jazz LifeやAdLibでも大々的に取り上げられ、私めも復帰が本当に嬉しくて、珍しく新品で買いました。ジャケットにはフラワーポットインレイのフルアコが写っていて、Byrdlandかと思いましたが20フレットなのでL5CESでした。デビュー盤の175以外、フルアコのイメージがなかったので意外でしたが、箱ギター愛好家(買うのも弾くのも好きですが財力的に限りがあり、専ら見るだけです・・・)としては期待が高まります。
<ギターの聴きどころ>
意表をついて1発目はアコギでした。しかし、春を感じさせるキャッチーなメロディ、スタッカートとテヌートをうまく使って(ちょっとDavid T.風?)アコギであっても抜群の表現力です。 続く2がジャケットのL5でしょうか。コーラスがかかったサウンドでチョーキングを少なめにGRPっぽい?プレイとサウンドです。こういうCarltonのプレイも好きですが、チョーキングやビブラートが入ればもっと歌ったのでは?コーラスは余計に感じました。 3もアコギです。右のシングルミュート中心のバッキングはエレクトリックなのが面白いです。 4は一転してエレクトリック(ストラト)のドライブトーンで、Kirk Whalumのサックスとユニゾンでテーマを奏で、ソロでは湧き出るように切れ目なくフレーズを繋いで行きます。 5のスロウもアコギで、美しくメロディを素直なサウンドでニュアンスたっぷりに奏でます。ピッキングの強弱やフィンガリング、本当に素晴らしい!上がりきらないチョーキングが切なさを高めます 6は大好きな曲ですが、このサウンドとアレンジはちょっと自分の好みには合いませんでした。5の感じで弾いてくれたらよかったのに! 7はこれまでの明るい雰囲気とは異なりシリアスなムードを持つ曲で、ドライブサウンドでのロングトーンや空間を生かした風レーズでBluesyに歌います。ヴァイオリン奏法やハーモニクスなどの小技も表現の一環として上手く取り入れています。 リズムに特徴のある8,指弾きの左のバッキングとプリミティブ感もあるドラムに乗せてCarltonのギターはよく歌います。 なお、この曲は次作の"Renegade Gentleman"でも再録されています。(サウンドもプレイも異なります) 盟友、Terry Trotterに捧げたと思われる9,ミディアムスロウのシャッフルに乗せて、ナチュラルトーンで歌います。これもL5? ラストは暗示的なタイトル(できればこうありたい、という意味でしょうか)の小曲で幕を閉じます。 曲調もサウンドもバラエティに富んだ作品、Carltonの多彩さが光ります。雑誌のインタビューでは、本作はレコード会社の意向に従って作った、本当にやりたかったのは次作のBluesアルバム"Renegade Gentleman"だ、というようなことを語っていましたが、それでも十二分以上の仕事をしていて、不本意ながらに作った作品には聴こえません(逆に自分は次作がBluesというよりHard Rockに聴こえてあまり好みではありません。"Sapphire Blue"は大好きなのですが。 ともあれ、春のウキウキした雰囲気に合う曲の多いこのアルバム、ぜひ聴いてください。(発売は秋だった気もしますが) そして、このL5の行方は?
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡ |
お酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
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