Hi-fi Set / I Miss You (1983) – 松木恒秀

Pops作品での松木さんのJazzプレイです。 

A1. 下町 Love ルネッサンス
 2. 心離れるころ
 3. Blue Dream
 4. 負けるが勝ち
 5. シーズン・オフのサンタクロース

B1. Big Apple
 2. Sentimental Morning
 3. キャサリン
 4. インディアン・サマーのふたり
 5. Miss You



Hi-Fi-Setの'83年作品です。赤い鳥が解散した後、Hi-Fi-Setと紙ふうせんとして別れて活動をスタートさせましたが、紙ふうせんがフォーク的な叙情や民謡カバーなど原点回帰を志向したのに対し、Hi-Fi-Setはユーミンなどのカバーも含め都会的な新しさを前面に出していたように感じます。(もちろん全てリアルタイムではなく、後追いで聴きました。)Hi-Fi-Setの数多いLPは、CDで復刻された後、Unionやレコファンのエサ箱の常連となり本作も含め、そこからほとんどを入手しました。(一方の紙ふうせんはもともとのプレス数があまり多くないのか、あまり中古市場では見ませんでした。復刻されたCDも異常な値段がついていたりしました)。コーラスワーク含めたアレンジも洗練されていて、デビュー盤から大村憲司さんはじめ一流のスタジミュージシャンをバックにつけた完成度の高い楽曲を歌っていました。本作でも豪華なメンバーで、Jazzyなムードに溢れた作品になっています。
70年代中期〜80年代前期の日本のおしゃれミュージックの担い手の一つであったようで、BGMとして軽く聞き流すこともできますが、じっくり聴き込むこともできる良い曲もたくさんあります。

<ギターの聴きどころ>

松木さんは、A5以外全曲に参加しています。(A5は中牟礼貞則さんです。)
A1ではほとんど聞き取ることができませんが、A2ではストリングスに続いてミュートを効かせた単音バッキングで入り、ダブルストップのオブリを交えながら少ない音数で哀感のある曲に彩りを添えます。
A3では、イントロのメロディ、コードバッキング、単音・複音を巧みに取り混ぜたソロいずれもJazzyなプレイです。
A4はコードの刻みから、珍しくドライブサウンドでのチョーキングを交えたソロです。こういう古いJazz調の曲であえてこういうソロを入れて来るところに松木さんの常識に捉われない自由なセンスを感じます。
 B1、B2もJazzコードの刻みです。B2の後半でさりげなく挟むオブリも見事です。
B4は、あえて少ない音でコード感を表現しています。
スロウのB5もひっそりとヴォーカルやJake Coceptionのソロを支えるようなバッキングです。
アルバムを通して、Jazz感を感じさせるプレイで、松木さんがJazzにも精通していることが感じ取れます。であれば他の作品でももっとJazzプレイを披露して欲しいところですが、決して目立過ぎず主役のサポートに徹するのが松木さんの美学だったのでしょう。
A5の中牟礼さんは、アンプラグドのJazzプレイです。
松木さんは、Swing や 1&2などのHi-Fi-Setの他のアルバムにも参加していますので、こちらも聞いてみてください。