Larry Carlton – Singing/Playing (1973)

初期のCarltonの全てが詰め込まれています。

A1. Easy Evil
 2. I Cry Mercy
 3. One More Chance
 4. With Respect To Coltrane

B1. American Family
 2. Wavin' And Smilin'
 3. Captain, Captain
 4. Free Way


Carltonの'73年作品です。リーダー作としては2枚目となります。(1作目はあまりにマイナー過ぎますので、世間に認知された初めての作品と言っていいいと思います。私めも1作目を購入したのはCD復刻時です。)ちょうどCrusadersに正式加入した頃の録音で、Blue Thumbからのリリースです。なんと、8曲中6曲をCarlton自身が歌っています。このLPを買ったのは80年代の終わりで、
他のCarltonの他のリーダ作品は1st以外入手していて、自身の名を冠した3rdや4th(Strikes Twice)で2曲づつ歌っていたのは聴いていましたが、半数以上とは!(インタビュー記事によれば、Crusadersやセッションの仕事があまりにも忙しく、ギターの比率を下げるため歌った、とのことです)内容も、3rd以降とはかなり異なり、Michael Franksを思わせるような、囁くような鼻にかかったヴォーカル(自分はちょっとカマっぽいと感じました。すみません・・・)ともども評価が分かれるアルバムではないでしょうか?ジャケットもデビューの頃のBeatlesの髪型のような自身の顔のアップで、ひょっとして歌ってギターが弾けるアイドルとして売り出したかった?(ギターフェチとしては裏ジャケの335と手の方が表のほうがよかったのではと思いました。)

<ギターの聴きどころ>

アコギだけではなくベースまでプレイしているA1から、左のフィンガリング、右手のピッキング、両手でドライブ感を自在にコントロールする表現力豊かなソロが来まくっています。インタビューでは、こういうプレイはBluesmanから学んだというようなことを言っていますが、聞き惚れてしまう見事さです。終盤のワウは余計だった気もしますが時代なのでしょうか?(David T.もGaleも70年代頭は使ってましたし)
一転して爽やかなA2でも、自身がアレンジしたというストリングに乗って甘い歌を披露した後、よく歌うソロに続きます。これもワウは余計な気がします。似たような曲調のB1での甘いトーンでの左右の多重録音ソロもMellowです。
A3は、後年のAllen Tousantとのプレイを思わせる曲です。
CrusadersのメンバーをバックにしたTom Scott作のA4,ドライブサウンドでのテーマ、ハーモニックス、スライド(多重録音?)ヴァイオリン奏法など、あらゆるテクニックを駆使していますが、技に溺れず、歌心を感じられるところが流石です。
B2は右のリフに埋もれますが、左のコードバッキングがいい味を出しています。この曲のソロもウーマントーンを彷彿とさせるサウンドですが、ワウを途中で止めて中域を強調しているのでしょうか(Carlos Santanaがよくやるサウンドです)
波のSEから始まる壮大なB3、エンディング付近のミニョミニョンのアナログシンセも時代ですね
コードソロとも言えるJazzyなプレイから入るラストのB4、突然ファズサウンドによるジミヘンばりのハードなプレイに転換し、
また冒頭のプレイに戻って終わりを迎えます。Vibraphoneまで自分で弾いているんですね。
全曲聴いてみると、ギターがしんどいので歌で、という本人の言葉とは全く逆で、自身の持つあらゆるテクニック、多彩なサウンド、幅広い音楽性、初期のCarltonのギターの見本市のような印象を受けました。(単に照れ隠しだったのでは?)当時20代の中盤、若さや勢いに満ち溢れていて、初のメジャーアルバムに対する意気込みが感じられます。ギターも、歌も、アレンジも、やりたいこと、できること全てを詰め込んだ感じです。不思議と散漫な印象はありません。
後期のFourplayでのプレイしか聴いたことがない人は、本作を聴いたら驚くかもしれません。





Emotional度♡♡♡♡ 個人的にはハードすぎるプレイはちょっと苦手です
Bluesy度♡♡♡♡ A1見事です
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡

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