Larry Carlton / Deep Into It (2001)
サウンドもプレイも円熟のエロティシズムに溢れています。
1. Larry Carlton – Deep Into It 2. Deep Into It 3. Don't Break My Heart 4. I Still Believe 5. Morning Magic 6. It's A Groove Thang 7. Closer To Home 8. I Can't Tell You Why 9. Like Butta' 10. Roll With It 11. Put It Where You Want It (Extended Version) Cqrltonの'01年の作品です。自身のソロ活動に加え、'98年のまさかのFourplay参加、'99年のCasino Lights'99へ出演など精力的に活動を行っていた時期のリリースです。前作より戻っていた古巣のWarner Bros.からのリリースで、前作同様Smooth Jazzの第一人者、Paul Brownとの共同プロデュースです。歌物2曲(4とThe Eaglesの8)含む全11曲、Paul Brownプロデュースということもあり当時流行りのSmooth Jazz仕立ての曲もありますが、そこはさすがCarlton、全編Bluesyなプレイで、耳当たりの良いだけの単なるBGMにはなっていません。 Jazz Lifeで発売を知り、発売日はちょうど寒くなり始めた今頃の時期だったと思いますが、仕事で外出したのを良いことに、早々に用件を済ませ、茶水のUnionにより購入、まだ昼過ぎでしたがそのまま会社に戻らず直帰し早速家で聴きました。(既に時効です)
<ギターの聴きどころ>
淡い青を基調とした水墨画のような面裏のデザインからして良い雰囲気です。 1は、クルセ時代の再録ですが、ジャケットのイメージ通り、グッと渋くBluesyな内容にリメイクされています。 前作の"Fingerprint"あたりから335に戻り、サウンドもドライブをかなり抑えていて、以前はフロントポジションがほとんどでしたが、センターやリアも使い始めています。(Casino Lights '99のDVDでバッチリ確認できます)。この曲もセンターと思われ、フロントとリアのヴォリュームバランスを変化させつつ、絶妙なピッキングダイナミクスとフィンガリングでサウンドを変化させています。 強弱、抑揚による色気、抜群です。 2のタイトル曲、(他の曲でもそうなのですが、持ち前の表現力がさらに深く進化しているように感じられます)、Paul Brownアレンジの単調な打ち込みリズムではありますが、そんなことには全く関係なく、二人のサックス(Dan Higgins, Kirk Whalum)と共にCarltonのヒューマンなギターが歌います。 3はやはり打ち込みのリズムですが、アコギで、タメを聴かせながら美しいメロディを奏でます。 4は歌物で、バックでのオブリ・短いながら表現が行き届いたソロ、生バンドの演奏に乗せてギターがよく歌います。 5も打ち込みの平坦なリズムでそれだけ聴くと飽きますが、Carltonのギターは表情豊かです。 6,9はストラトでしょうか?プレイスタイルは全く変わりませんが、サウンドの変化で新鮮に感じます。バーボンからジンに変えたような感じでしょうか? 7のスロウ、Eaglesの8もメロウに歌っており、聴く人も弾く人も酔う、真骨頂のプレイです。 10はSteve Winwoodのカバーとのこと、生演奏を従えて、二人のサックスと共にBluesyに歌います。(オリジナルは未聴です。Spencer Davis Groupで止まってしまいました。) 11は1のロングバージョンです。10分以上ですが、長さを感じさせません。やはり打ち込みより「ひと」のプレイが断然合います。 Carltonの歌心が遺憾なく発揮された(バックが無機的な打ち込みであっても)アルバムで、ルーツの一つであるBluesを感じさせます。Carltonは、Carlos Santana、David T. と並ぶ最高に官能的なギタリストだと思っておりますが、Santanaの激情的どエロとはタイプが異なりますが、じわじわくるエロティシズムが本作にも溢れています。エロいギターが好きな方は、ぜひ聴いてみてください。
Emotional度 | ♡♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡♡ Blues進行の曲はありませんが |
Mellow度 | ♡♡♡♡♡ 7でとろけます |
お酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
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