Larry Carlton / The Gift (1996)
祝来日!本作も繊細なプレイがたっぷり詰め込まれた最高の贈り物です。
1. Ridin' The Treasure
2. Things We Said Today
3. Goin' Nowhere
4. The Gift
5. Shop 'Till You Drop
6. Pammie Dear
7. Osaka Cool
8. My Old Town
9. Mourning Dove
10. Buddy
来月よりCarltonの来日公演が始まります。私も3日Billboard東京の公演予約しました。GWの最高の贈り物、今から楽しみです。贈り物ということで、96年の”The Gift”です。GRP移籍後"Kid Gloves"でSmooth Jazz路線に転ずるかと思いきや、Blues Rock盤を出したり、Ritenourとの共演盤を出したりと企画盤が続きましたが、本作ではメロディの美しさを生かした作品を作りたいという本人の意向と、Smooth回帰を願うGRPの意向が反映された作品としてリリースされました。Carlton自身のインタビューでは、短期間で曲を書き上げたとのことですので契約上の縛りがあったのかもしれせん。制作上の背景とは無関係に内容は充実しており、L.A.から転居したNashvilleでの録音、有名どころは少ないですが知己のミュージシャンとの息の合ったリラックスした演奏が収録されています。
Carltonのソロ作は、劇的な復活以降は新作が出るたびに買っており、前作に当たる”Renegade Gentleman”がサウンドもプレイも自分の好みとは離れていて若干の不安がありつつも本作も発売日を待って新品で購入しました。
<ギターの聴きどころ>
1でらしからぬメロディでアコギサウンドが流れ、CDの中身が違っているのかと思いましたが、続くBeatlesカバーの2でのイントロ、ナチュラルドライブサウンドでのBluesyなサウンドが入り、間違いなくCarltonでした。当時結婚(再婚)したばかりというMichelle Pillarのヴォーカルに寄り添うようにオブリを重ね、ソロでは激情的でありつつ、転調にもハモリにも対応するCarltonならではのソロです。この曲はGRPのBeatlesカバー集(A GRP ARTISTS' CELEBRATION OF THE SONGS OF THE BEATLESのことと思います)に収録される予定であったところGRPの判断でボツになったとのことで、自身のソロ作で復活させたそうです。こんないい曲をなぜボツに?と思いましたが、後追いでそのBeatlesカバー集も聴いたところ、Jazzyなアレンジでありつつ全体的にライトな仕上がりで、CarltonのBluesyなプレイは必要とされなかったものと思われます。
3ではイントロのKirk Whalumのサックスやバックトラックは軽さを感じさせますが、キャッチーなメロディーをチョーキング、フィンガリングを巧みに操って歌わせ、時に激しいピッキングを交え、Deepなエモーションを感じます。
タイトル曲の4,ゆったりとしたリズムの中で大きなメロディをアコギで紡いで行きます。繊細さと優しさを感じさせるプレイとサウンドです。
5も軽快な曲で、ナチュラルサウンドとドライブサウンドを使い分けています。J-Waveのウェザーニュースや交通情報(バイリンガルのお姉さんがやるやつ)のBGMになりそうですが、後半のはじけるようなピッキングや激しいチョーキングやビブラート、聞き流すには勿体なさすぎる!
6もアコギでしっとりと決めます。Buddy Emmonsのスティールギターもムードを盛り上げます。
出来上がった曲から大阪を想起したという7、流れるようなソロプレイが見事です。しかし、なぜ大阪?何か印象に残る出来事や料理があったのでしょうか?
不思議なパーカッションのイントロに続いてドライブサウンドが叫び、歌う8、本作では一番激しいサウンドとプレイです。この曲はそれまで住んでいたL.A.をイメージしたそうです。この曲のみ、L.A.時代の一番の相棒だった335を使っています。(アンプは古いFender Deluxe)
9、北米で最も生息数の多い鳥の1つであるナゲキバトをタイトルにしています。鳴き声が悲しそうな声をしているためナゲキバトと名付けられたそうですが、むしろ爽やかさを感じます。ここでもアコギの響きが美しく、7分近い長さを感じさせません。
ラストの10、Buddy Holleyをイメージしたそうです。(Guyでなくて残念なような安心したような・・・)優しさと暖かさを感じさせる曲の中で、Carltonのギターが歌い、泣き、本作中でお気に入りの1曲です。Buddy HolleyはDupreeや大場久美子さんのカバーを取り上げているにもかかわらず、まだ御本家をちゃんと聴いたことがありませんので、そのうち是非!
本作でのギターは、アコギはいつものValley Arts,エレクトリックは'62年のストラト+Dumbleアンプがメインだそうです。(Carltonのプレイするストラトサウンド、大好きです!)2のみ録音時期が違ったためオールドのレスポール、8は前述の通り335ですが本当はレスポールを使いたかったところフレット打ち直しが間に合わなかったため、335を使ったそうです。このエピソードからもGRPよりリリースを急がされたことが推察され、意向の違いからか本作を最後にGRPを離れ古巣のWarnerに戻ります。
しかし、内容自体は悪くなく、Carltonの繊細なプレイがたっぷり詰め込まれていますのでぜひ聴いてください。
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡♡ |
酒のお供度 | ♡♡♡♡♡ |
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