黄啓傑 / from New Orleans to New Orleans (2012) – 山岸潤史

全曲アコギでの参加ですが変わらぬタメと歌心に溢れたプレイです。

 1. Corrina Corrina
 2. What a Friend we Have in Jesus
 3. Buddy Boldens Blues
 4. Sister Kate
 5. 去りゆく季節に
 6. Minuet
 7. Just a Little While to Stay Here
 8. Crying Time
 9. Eh,La Bas
10. 港町 神戸




トランペット奏者黄啓傑さんの'12年の作品です。山岸さんとピアノの吉弘知鶴子さんとのトリオで演奏しています。黄さんはBLACK BOTTOM BRASS BANDで11枚のスタジオ盤、2枚のライブ盤をリーリス後、12年に脱退しその6ヶ月後に本作でソロデビューしています。吉弘さんはJIMSAKU、浪花オールスターズ(山岸さんも在籍)のメンバーとして活躍後、ソロデビュー、その後山岸さんの影響もあってN.O.にどっぷりハマり、'現地と日本を行き来する生活が続いたそうです。(’02年には1年滞在)。山岸さんについてはご存知の通りもはや現地人と化しており、5月のジャパンブルースカーニバル参加時もホトケさんに「外タレ」として紹介されていました。
そんなN.O.にゆかりの強い実力も歌心もある3人が集まってできたアルバム、よくないはずがありません。

<ギターの聴きどころ>

山岸さんは全曲参加ですが、なんと全てアコギによるプレイです。基本的には主役の黄さんを吉弘さんと共にバックアップする役割ですが、ソロも取ります。
1、いきなりサッチモを彷彿とさせるペットのサウンドに和みます。山岸さんはBluesのフレーズでオブリを入れ、終盤近くのソロでは、弦を弾く右手とチョーキングの左手で歌いまくります。
讃美歌の2(結婚式で歌う「慈しみ深き友なるイエスは〜」です)吉弘さんのGospelピアノに導かれ朗々とペットが歌います。それに続いて、山岸さんが、よくぞここまでというほどタメまくりのソロに入ります。髪を振り乱し、口を大きく開けて、体全体で弾く姿が目に浮かびます。
3でのBluesバッキング、4でのラグタイム風のコードの刻みも見事です。
5では、哀愁漂うメロディをミュートサウンドのペットが歌い、山岸さんもストラトで弾いてもフルアコで弾いてもサマになると思われるMellowなソロで応えます。
6は、小学校で聞く「メヌエット」ですが、「ラヴァーズ・コンチェルト」としても認知度が高いかと思います。山岸さんのプレイ、ペンタ以外のノートも使っていますがタメタメであることは変わりなく、バッハもびっくりです。
Dixie Jazzの7では、ストラトやテレで弾いているかのようなカッティングでGrooveを作ります。
Ray Charlesの8はギターのフレーズからスタートします。ペットのバックもソロも感情のこもった素晴らしいプレイです。
コードのイントロからマンボに転ずる9、カッティングに加えて、コーラスでも参加しています。
ラストの10、黄さんの決してうまいとは言えませんが淡々として味のあるボーカルをコードの刻みで盛り立て、短いソロではここぞとばかりに濃いフレーズで歌い上げます。
アコギでもエレクトリクトリックでも関係なく、タメと歌心に溢れた強烈な山岸節です。エフェクトで薄められない分、ダイレクトに感情が伝わってきます。
山岸さんは、有山じゅんじさんとの”有山岸”でも素晴らしいアコギプレイが聴けます。









Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡ 
Mellow度♡♡♡♡♡    
お酒のお供度♡♡♡♡♡  

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