Theryl “Houseman” De’Clouet / The Houseman Cometh! (2001) – 山岸潤史

完全に土着化した見事なGrooveです。

 1. You Came
 2. Two Wrongs
 3. Where You Gettin' It?
 4. I Love You More Than You'll Ever Know
 5. I Get Lifted
 6. Ain't No Yachts In The Ghetto
 7. Forever Starts Tonight
 8. Battlin' The Blues
 9. Pocket Change
10. Share And Care
11. Ready, Willin' And Able
12. Tough On You, Tough On Me
13. If That's What It Takes
 


 
Theryl "Houseman" De'Clouetの'01年の作品です。(テリル・デクロウと読むようです)N.O.のジャムバンド、Galacticのヴォーカリストとして初期の4枚に参加、”Houseman”として名を馳せ、適度なラフさとスムースさがミックスされたヴォーカルスタイルは、L.J. Reynoldsや同じN.Oの先輩Johnny Adamsを彷彿とさせ、アップでのシャウト、スロウでの泣き節とも豊かな表現力を感じました。本作はソロとしては3枚目となり、プロデュースを Scott Billington・山岸さんと協働、Galacticのメンバーなど知己の顔ぶれを集めて、Soul,Funk,Bluesを中心に、オリジナルにカバーを交えてヴァラエティに富んだ内容となっています。そしてアップ、スロウに拘らずどの曲も本能的な快感を感じます
発売時、Blues & Soul Recordsで紹介されており、なんとP-Vineから日本盤も発売されていましたが、輸入盤の方が500円ほど安かったためそちらを購入しました。


<ギターの聴きどころ>

山岸さんはリズムアレンジも担当していて、実質音楽監督的な役割も担っていたものと思われます。ギターの方でも5と11を除く全曲に参加しています。(5と11はGalacticのメンバーの
Funkyな1や6では、左右から一人コンビネーションによるシングルコイルサウンドでのカッティングです。弦を2本ほどしか鳴らしておらず、ブラッシングをうまく使うことでメリハリをつけています。
そこはかとない哀愁が漂う2や7でも常に右手でリズムをキープしながらカッティングやオブリをフリーにプレイしています。
メロウGrooveの3では、右のカッティングに加え、ハムのフロントと思われる甘いサウンドでのJazzyなオブリが印象に残ります。このぐらいの弾きすぎないプレイもいい感じです。
Donny Hathawayも取り上げた4では、クランチ気味のハーフトーンによるフリーなバッキングで、お得意のタメタメチョーキングによるBluesyなオブリでヴォーカルにレスポンスします。
Robert Crayがやりそうな、マイナーBluesの8では、明らかにAlbert Kingを意識したプレイで、ソロも聴けます。
Mardi Gras Mamboの9でもカッティングを中心としたバッキングに加え、バンド一体となってキメを完璧に決めています
10では、右はエレクトリックでのシングルノート中心、左はアコギによるタメのオブリ中心で、自分も酔い、聴く人も酔わせるプレイです。
12では、とうとうドライブサウンドによる泣きのイントロやソロが飛び出します。ただし、大人になったのか(失礼!)、激情に任せて弾きまくるようなことはなく曲全体の雰囲気を大事にしています。
13はパーカッションとアコギだけのシンプルな構成ですが、見事にGrooveしています。
音楽監督としての役割を重視したのか、ソロは2曲しかなく物足りなさも感じますが、リズム感やフレーズの組み立てなどすっかりN.O.に溶け込んでおり、バンドを主導するほどの力量と人望を身につけています。さすがの探究心と行動力です!
本作、個人的にはQunchoさんとの共演作に近い雰囲気を感じました。
山岸さんはTheryl "Houseman" De'Clouetの2007年のソロ作にも参加(というより共作)しているらしいのですが、未だに見つけられておりません。引き続き探しています。










Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡♡

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