太田裕美 / 海が泣いている (1978) – Lee Ritenour

珍しく?感情も力も入っているRitenourのプレイです。

A1. スカーレットの毛布
 2. 振り向けばイエスタディ
 3. 茉莉の結婚
 4. Nenne
 5. 街の雪

 
B1. 海が泣いている
 2. ナイーブ
 3. 水鏡
 4. 女優(ヒロイン)
 5. ∞(アンリミテッド)




 
 
太田裕美さんの'78年の作品です。9枚目のアルバムで、これまで通り詞:松本隆さん、曲:筒美京平さんで、なんとL.A.で現地のミュージシャンをバックに録音されています。太田裕美さんは、小学生の頃、テレビやラジオで「木綿のハンカチーフ」などのヒット曲を聴いていました。ドラマ性のある歌詞や、曲の良さ、少し舌足らずなヴォーカルなど子供心にも気に入っていて、レコードを買うほどではありませんでしたが、結構チェックしていた記憶があります。大人になって安レコ買いを始め、'90年代の終わり頃、まずベスト盤をレコファンで100均箱からゲットし、懐かしく聴き始めました。子供の頃聴いていたのとは、歌詞の理解度が違い、都会の絵の具に染まってしまった?身としては、「木綿の〜」は、涙無くして聴けませんでした、ベスト盤だけにいい曲が揃っていますが、その中でもA2(ベスト盤ではA4)のギターが控えめながらBluesyに歌っていて、気になったので(ベスト盤のためクレジットはありません、大村憲司さんかなと思ってました)、収録されている本作を次に購入しました。新宿ユニオンの安箱だったと思います。副題でHiromi In Los Angelesと書かれています。L.A.と言うことは、Carlton?ちょっと違うような?あるいはRobben Ford?






<ギターの聴きどころ>

開けてビックリ!インナーに写真付きの詳細なクレジットがあり、意外や意外、Ritenourでした。早速針を下ろします。
Ed Greeneのドラムにエレピが乗り、おお、L.A.サウンド、などと思っていたらキレの良いカッティングが入ってきました。まさしくRitenourです。(かなりRay Parker Jr,の影響を受けていると思います。Fusionの貴公子とブラコン界のナンパ師に接点があるのかと思いましたが、前年の”Captain Fingers”でも共演してます)RPほどのクセはありませんが、Wah Wah Watsonを思わせるミュート+グリッサンドのフレーズなどもさりげなく入れてくるあたり、Ritenourの器用さ(節操のなさ?)が現れています。
続くA2、イントロからピッキングで強弱をつけたメロウなフレーズが飛び込んできます。ヴォーカルのバックでは軽くフェイザーをかけたカッティングで、なるほど確かにRitenourのお得意のサウンドです。ロングトーンのオブリ、エンディングもRitenourにしてはBluesyです。しかし、この曲の歌詞、二人はどう言う関係でしょうか?かつての恋人?ただの学友?
シャッフルのR&R調のA4,Lukatherかと思うようなロックのフレーズを左右から入れてきます(歪みとビブラートの振幅の大きさはLukatherの1/10ぐらいですが)スタジオ仕事でのRitenourのこういうプレイは珍しいと思います。
哀感のあるA5,表題曲のB1,要所で入るヴァイオリン奏法などのオブリがいい感じです。
B2のReggaeカッティング+キメのフレーズも器用さを感じさせます。
古いJazz調のB4では、自身のルーツであるJazzフレーズなどを交えながら多彩なコードワークで曲を盛り上げています。
ラストのB5では、ここまでリズムギター要る?と思わせるほどの無限大なカッティングを左右から聴かせてくれます。ソロでは、Galeの影響を感じさせ、タメを効かせています。(Galeの1/100ぐらいですが)
余裕顔で半分ぐらいの力で、あまり感情を込めず軽々と弾いていると思っていたRitenourの印象が本作で覆りました。思いも力も入っています。もしかして、日本人女性が好み(杏里さんとの件は触れてはいけない?)で、ついつい、いいところを見せようと張り切った?(ギターだけではなく、こんなところでもRay Parker Jr.の影響を受けてしまった?)






Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡ RitenourにしてはBluesy! 
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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