宮崎正子/ Get My Wave (1978) - 松木恒秀

2022年11月14日 2022年11月14日

domon@guitar

B3聴きたさに、新品の復興盤を買いました！

A1. He Loves You
2. The Hungry Years
3. I Really Hope It's You
4. Once I Loved
5. Fantasy

B1. Never Letting Go
2. Waltz For Debby
3. That's Enough For Me
4. Destiny
5. What Are You Doing The Rest Of Your Life

宮崎正子さんの'78年のソロデビュー作です。 ザ・カルアのヴォーカルだったとのことですが未聴です。本作は、夫君である三保敬太郎さんのプロデュースで、コルゲンさんと美保さん、宮崎さんの慶応繋がりから、プレイヤーズ勢をはじめとした豪華なミュージシャンのバックアップにより多様なジャンルのカバーを歌い上げています。
弊ブログでB3をPatti AustinやKeiko Leeで取り上げたところ、Twitterでフォローさせていただいてる松木さん通のベーシストの方から、宮崎さんもやっているとの情報をいただき、それはぜひ聴かねば！と思い宮崎さんが誰かも知らず、早速探し始めました。'78年の原盤、2010年ごろの復刻CDとも店頭にはなく、ネット上でもなかなかの値段だったので躊躇しておりましたが、今年の6月にアナログ盤で再発されたものをめでたく新品でゲットしました。
サブスクの充実でCDが売れなくなった一方、最近アナログLPでの再発多いですが、新品のCDより高いですね。本作も4400円でした。レコードの人気戻ってるんですね。目ん玉お飛び出価格だったという”幸福号出帆”（これも先のベーシストの方に教えてもらいました）もアナログで再発されましたし！（もちろん買いました！）
うちにもLP5000枚ぐらいあるけど、資産価値上がってますかね〜？（不純ですね〜）

＜ギターの聴きどころ＞

裏ジャケのクレジットには、松木さんはエレクトリックでA1,2,3,5,B3,B4に、アコギでB1に参加と書かれています。
A1、左からのフェイザーがかかったサウンドで、キレのいいカッティングでスタートします。曲を通してコルゲンさんであろう右のエレピとコンビネーションリズムになっています。（右もギターにした方が良かったのでは？）
A2では、シングルノート＋David T.とは一味違うプリングオフのテロリロ、ダブルストップなどを交えたお得意のパターンでのバッキングです。相変わらずタイミングや音使いが絶妙です。
Michael FranksのA3でもコルゲンさんとのコンビネーションバッキングですが、コルゲンさんがメインで松木さんがサブの位置付けです。
A4のガットは中牟礼貞則さんで、Bossa Novaバッキングです。
EW&FのA5,CDならともかく、LP片面のラスト（箱根駅伝で言えば往路のゴールです）にこんな曲入れる？という感じで、聴いてみても本作の中では浮いた印象ですが、当時のヒット曲を加えることでセールスを伸ばしたかったのでしょうか？ヴォーカル（一人多重コーラスは無理がある気がしますけど）や演奏は申し分なく、松木さんは、イントロのベース、エレピとのユニゾン、キレのいいカッティングでGroovyなプレイです。
阿川泰子さんもカバーしたB1(やはり松木さんがプレイしています)では、アコギでアルペジオ主体のプレイの合間に、ハーモニクス奏法やリフのユニゾン、ダブルストップを交えていて、エレクトリックでもアコギでも変わらない歌心のあるバッキングです。
お待ちかねのB3,全体の雰囲気はかなりPatti Austinですが、松木さんはファイザーのサウンド、（ややツッコミ気味の気もしますが）プレイとも、Gale以上にGaleぽいです。短いながら本作で、唯一のソロもあります。ただ、Galeのような「ハコ感」はしないので、もしかするとストラトでしょうか？ヴォーカルは申し訳無いのですがPatti AustinとKeiko Leeさんを長く聴き続けたせいかやや違和感あります。
B4も意外な選曲で、Chaka Khan同様の迫力を期待するとアテが外れますが、ドラムとベースのGroove感がいい感じです。松木さんはあえてパターン化されたカッティングではなく、コーラスサウンドでの控え目なオブリやシングルノートですが、見事にGrooveに乗っています。
この路線で続けていれば直後に流行った「美形ジャズシンガー」のトップになれる実力との伸びしろを持っていたのではないかと想像すると、唯一のソロ作しか残していないことが残念です。
常識的な価格で流通しているうちに買って聴いてください。