Hank Crawford / Hank Crawford's Back (1976) - Eric Gale

2023年3月1日 2024年6月25日

domon@guitar

CDより高いレコードで、GaleはSoloだけではなく全編で大活躍です。

A1. Funky Pigeon
 2. I Can't Stop Loving You
 3. You'll Never Find Another Love Like Mine
 

B1. Canadian Sunset
 2. Midnight Over Memphis



 
Hank Crawfordの'76年の作品です。Creed Taylorがプロデュース、裏ジャケ（表と同じタイトル通りの背中の写真を使い回しています！）に記載の通り、StuffメンバーなどN.Y.の錚々たるミュージシャンを集めてレコーディングされ、KUDUからリリースされています。　ハンクロ、Gale,Dupree,Jimmy Ponder参加作として弊ブログでも登場回数が高く9回目となります。（クルセに次いで第2位です）
本作も、比較的最近になりますが、UnionのJazz館で'00年台の後半に買いました。Turrentineやハンクロクラスになると、アルファベットで一緒くたではなく、アーティスト別に分けられていてしょっちゅうチェックしていたのですが、本作はいつもいいお値段でした。ジャケットなどボロながら、ようやく手頃な値段（2000円ぐらい）のものが出たので即購入しました。開けて盤を見ると、DJの方が使っていたのか指紋まみれでした。そして購入直後にわかったのですが、すぐ前に日本盤のCD（I Love Kuduシリーズとして）が再発されたらしく、なんとそっちは1500円でした。しかしアナログの方が所有する楽しみは500円分以上高いので決して悔しくはございません。負け惜しみではございません。そして自分の情報収集力の低さも悔やんではおりません。500円あれば、エサ箱から掘り出し物が1~2枚買えたなど、少ししか思っておりません・・・ほんの少ししか・・・・うう（泣）

＜ギターの聴きどころ＞

気を取り直して、汚れた盤を念入りにクリーニングして聴きます。
裏ジャケによるとGaleは「Guitar Solos」と書かれています。
本作のアレンジャーを務めるDavid Matthews作のA1,ホーンのフレーズ等、少しクルセを思わせる曲です。左からシングルノートやコードカッティング、キメのフレーズが聴こえてきます。Soloでは無いですが、サウンドやフレージング、紛れもなくGaleでしょう。
ハンクロがバックバンドに在籍していたRay CharlesのA2,直後からオブリを突っ込んできます。中間ではお待ちかねのGale節のソロが炸裂します。メジャーの曲なのにマイナーペンタで押し通すフレーズもありますが、クセの強さは感じるものの違和感ないです。
Lou Rawlsの同年のヒット曲のA3,イントロではDavid T.が使いそうなダブルストップが左から聴こえてきます（もちろんDavid T.ほど軽やかではありません）。右はシングルミュートです。テーマに入っても右のカッティング、左のシングルの一人コンビネーションです。本作の中では比較的ポップな曲なのですが、Andrew Newmarkのドラムは投げやりというか怒っているかのような叩き方です。トイレに行った隙に他のメンバーから「ドラムはやっぱりGaddの方がいいよね」と言われているのを聞いてしまったのでしょうか？Galeのソロは、そんなこととは関係なく、いつも以上に高音部チョーキングなどの繰り返しフレーズを多用し、くどさ抜群です。
カナダの夕日の感じがしない(見たことがありませんが・・・東北の夕日なら18年見ました)B1,今度は右に引っ越してカッティング主体のフリーなバッキングです。
ラストのスロウのB2、イントロのTeeのRhodesとGaleの合いの手、もろStuffではありませんか！ハンクロの吹くテーマもdupreeが弾きそうな節回しです。Galeはオブリもソロもタメとツッコミをたっぷり盛り込んで、気持ちを込めてプレイしています。こういうギターの泣き節は本当に絶品です。後半には気持ちが昂りすぎたのか、ザックザックのカッティングに続いてファズトーンまで登場します。あるいはトイレに行ってる隙に、他のメンバーが「Galeクドイよね。こういう曲はDupreeの方が合うよね」と言われているのを聞いてしまったための怒りでしょうか？ともあれ、11分以上の長さを感じさせない美メロと各プレイヤーの変化に富んだ名演で、本作のハイライトではないでしょうか？
ハンクロ、どの作品もハズレなしです。（弊ブログでは少ししか触れていませんがMelvin Sparks参加作もいくつかあります）。ギター好きの皆様もぜひ聴いてください。少しぐらい高くてもできればレコードで！！　← Gale並のクドさですみません・・・・