Thelma Houston & Pressure Cooker / I’ve Got The Music In Me (1975) – Larry Carlton, Dean Parks

Carltonはいつも通りですが、ここでもParksの激しさに驚きました。

A1. I've Got The Music In Me
 2. Reggae Tune
 3. To Know You Is To Love You
 4. Pressure Cooker
 
 
B1. Don't Misunderstand
 2. Step In Time
 3. Dish Rag 
 4. Got To Get You Into My Life
 5. I've Got The Music In Me (Reprise)

 
 
Thelma Houston & Pressure Cookerの'75年の作品です。Thelma HoustonのMotown移籍後3作目にあたり、西海岸のセッションミュージシャンによるPleasure Cookerを従えての録音です。(というより、Thelmaの歌のないインストもあり、Presure CookerにThelmaがゲストとして招かれたような印象を持ちました)当時には珍しいダイレクトディスクレコーディング作で、それに特化したSheffield Labからのリリースです。そのオーディオ的な音の良さは現在も世界中のオーディオマニアからネット上で賞賛されているようです。Lee Ritenourより早いダイレクトレコーディングです!ミスや気の抜けた演奏が許されない一発録り、達人たちが集まっている理由の一つでもあるのでしょう。スタジオ内はくしゃみもできない緊張感と思います。
そんないわくつきのLPであることは全く知らず、'00年ごろいつも通りUnionのJazz館でレコード漁りをしていたらThelmaの名前を見つけ(David T.の参加盤など、既に数枚聴いていて気に入っていました)、なぜJazz館に置いてあるのか不思議に思いつつ、をひっくり返したらCarltonの名前がありました。この頃共演が多いDean Parksも! 大好きなB4(Beatlesの中で好きな10曲に入ります)もカバーしている!1000円ぐらいだったかと思いますが、すぐさまレジに向かいました。






<ギターの聴きどころ>

インナーには、参加プレイヤーの写真と共に、A面B面に分けて個別曲のクレジットがあり、ソロイストやリードの記載もあります。
A面にはCarlton(左下、原田真二かと思いました)、 B面にはParks(右上、哲学科卒業してそのまま引き篭もってしまった人、という印象です。哲学科卒の方ごめんなさい。私も哲学科卒ですので許してください。しかし、散髪してからスタジオ入りすればよかったのでは?)も映っています。二人とも335を手にしています。
ハットの刻みにThelmaのヴォーカルが乗る威勢のいいアップからスタートします。ゴージャスなホーンやコーラスに埋もれていますが、左のドライブトーンのオブリがCarlton,右のコードバッキングがParksでしょうか?
レゲエ調のA2,左がシングルミュートやカッティング、右がワウを噛ませたようなリフやオブリです。どちらか特定は難しいです。
Stevie WonderのA3、冒頭からヴォーカルに寄り添うように、ヴォリュームを絞ってドライブを抑えたサウンドでニュアンス表現と色気が抜群のギターが左に聴こえてきます。中間部ではヴォリュームを一気に上げドライブが増し、Bluesyに泣き、歌います。クレジットに記載の通りCarltonのリードギターでしょう。
続くA4、ユニット名を冠したインストで、頭から左右にドライヴサウンドのギターのハモリが聴けます。テンポや構成の変化が目まぐるしい曲ですが、中間のソロも含め右がParks、左のワウも駆使したプレイがCarltonと思います。Michael Omartinのリーダー作同様、二人ともサウンドもプレイも似ていて、両方Carltonと言われたら信じてしまいます。それにしても、滅多にリードを取らないParksがこれだけ熱いプレイをするとは!引き篭もってエネルギーを蓄えていたのでしょうか?
JazzyなB1に続くFunkyなB2では、あえてのドライブトーンでキメのフレーズやオブリをプレイし、ロックのテイストを加えています。キメや変化が多い中で、自在に泳ぐようなCarltonの歌うプレイは流石です。
B3もインストで、クルセをポップにしたような印象を受けました。リズム隊、ピアノ、ホーン、ギターともノリノリで勢いを感じさせます。ミ左のチョーキングを交えたプレイがCarltonで、中間部でオクターブカッティングで応戦している右がParksと思います。
大好きなB4,本家同様ブラスを重ねた分厚いアレンジで、左右ともギターはフリーにバッキングしています。本家にあった”あの”ギターの間奏はシンプルに纏まられてしまっていました。
タイトル曲のリプライズで幕を閉じます。ヴォーカル、バックともさらに熱さと勢いを増していて、右のCarltonのギターも音数が増えています。あっという間に両面聴き終えます。と思ったら、両面合わせても30分ない短さでした。しかし密度は濃く、ダイレクトレコーディングによる音質の良さも有って、濃縮された印象を受けました。ギター的にも、Carltonのいつも通り良く歌うソロ、オブリはもちろんのこと、Parksがいつに無い激しさを感じさせている興味深い1枚だと思います。(Parks,これだけの技量と熱量を持ちながらなぜ裏方に徹していたのでしょうか? 松木さんもそうですが、リーダー作を1枚も残していません。)あまり店頭で見かけた記憶がありません(少なくともSoul箱では一度も見ていません)が、見つけたらぜひ聴いてください。



Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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