Bobby Womack / So Many Rivers (1985) - David T. Walker

 地味に聴こえますがコントロールの行き届いたDavid T.のプレイです。

A1. I Wish He Didnt Trust Me So Much
2. So Baby, Dont Leave Home Without It
3. So Many Rivers
4. Got To Be With You Tonight
5. Gypsy Woman


B1. Whatever Happened To The Times?
2. Let Me Kiss It Where It Hurts
3. Only Survivor
4. Thats Where It's At
5. Check It Out




Bobby Womackの'85年の作品です。MCA移籍後の1枚目で、Poet三部作でも共演しているJames Gadsonと共同プロデュースで制作されています。オリジナル主体ですがA5でInpressionsの曲もカバーしています。再評価のきっかけとなったPoet三部作の勢いを持続、電子楽器やRocKテイストなど時流に合わせて多彩なカラーを取り入れつつ、Last Soul Manとして根底にあるソウルが沸々と湧き上がる熱唱を聴かせてくれています。
上京後、Womackの熱唱に痺れレコードを集め始めるのですが、"Poet"へのDavid T.参加を知り、Towerで探していたところ本作でも裏ジャケにDavid T.の名前を発見、新品で購入しました。緑シール(1,490円)だったでしょうか?

<ギターの聴きどころ>

個別曲のクレジットはありませんが、聴いたところDavid T. はA1,A3,B4の3曲に参加しています。

ミディアムスロウのA1(こういう渋めな曲を1曲目に持ってくるとは!)、イントロからあの音が聞こえてきます。哀愁ある曲調に合わせ、シングルートーンでオブリを入れてきますが、小音量で音数も少なく、主役が盛り上がっても引っ張られることなく淡々と音を刻みます。曲の終わり頃にようやく動き始めますがあっという間にフェイドアウトしてしまいます。
スロウのA4、主役の熱すぎるヴォーカルが冒頭から響き、David T.はひっそり絡んできます。2コーラス目から徐々に熱を帯び、多彩なフレーズを繰り出してきますが、音量自体は大きくなく、ソロもスペシャルゲストとしてのWilton Felder(クルセでの共演も多く、ソロ名義の”Secret”ではWomackが逆にゲスト参加しています。)に委ねています。この曲でも、フレーズが盛り上げってきたと期待していたらフェイドアウトしてしまい残念!
感動的なA3の余韻を引きずってB4が始まります。主役の熱さはそのまま(イントロのギターもWomack自身と思います)ですが、David T.は淡々とフリーなリフやオブリをプレイしています。
直前に聴いた"Poet"では、大々的にフューチャーされており、本作の裏ジャケにもWomack自身に続いて二人目に記載されていることから本作でも同様のプレイを期待していたのですが、第一印象としては「地味な参加」で、正直なところ物足りなく感じました。しかし、繰り返し聴き続けると、最適なフレーズを選び、出るところ、引くところを直感的に(あるいは経験的なものも含め)瞬時に判断してダイナミクスをコントロールしている名人芸であることがわかりました。実際にはその魅力に気づくには時間がかかったのですが、本作に限らずDavid T.のギターは主役や曲を支えることを第一に考えその中でも曲に彩りを添えるべく最適なプレイをしています。ソロなど、派手なプレイは必ずしもマストではありません。(もちろん、弾きまくっても一流なのですが)松木さんと共通する”幽玄の美”を感じました。
他の曲では、Jeff BaxterのRockなプレイなど必ずしも自分の好みではない曲もあるのですが、Womackの幅広さが好きな方にはハマる1枚だと思います。暑い夏こそ熱いSoulを聴いてください。




Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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