Gene Redden / Jazzbrazz (1987) - David T. Walker

メロウ&ソフトだけではないDavid T.のプレイが堪能できます。
1. Isn't She Lovely
2. Little Sunflower
3. Señior Blues
4. Blues On The Down Side
5. Here's That Rainy Day
6. Set Alaminim
Gene Reddenの'87年の作品です。USのサックス奏者のようですが、ネット上でも情報は少なく詳細はわかりませんでした。インナーによると、Chicagoで生まれ育ち、14歳で自己のスタイルを確立してクラブで演奏を始めた、ということですので早熟の人と思われます。また、”Eye Daiquiri”と自ら称する奇妙なジャケットも本人のデザインとのことですので、音楽だけでなく芸術全般に才能のあるアーティストなのでしょう。
一見不気味なジャケット、正体不明のミュージシャンであるにも関わらず、なぜ本作を購入したかというと、購入当時の90年代の半ばは遅ればせながらSteve Wonderにハマっており、本人のオリジナルLPはもちろん、幾多のカバーも安レコを中心に買い集めていたためです。ユニオンの300円均一棚に無造作に突っ込まれていた作品を漁っていた中で本作を手に取り、裏ジャケに1を発見、即レジに向かいました。
<ギターの聴きどころ>
聴き慣れた印象的なイントロで曲がスタートします。左からこれまた聴き慣れたサウンドが入ってきます、もしや、と思ってインナーを読み進めると、ちょうど右からソロが始まり、参加を確信したと同じタイミングで参加ミュージシャンのクレジットの下の方にしっかりDavid T.の文字がありました。いつも通り艶やかでありながら、ワイルドさも感じさせる弾むようなプレイで走り抜けていきました。左のバッキングはシングルノート、ダブルストップ、自在に組み合わせたフリーなバッキングで、大盤振る舞いに得意技を連発しています。
他に二人のギタリストもおり、David T.は曲の途中から参戦する場合も少なくないので、他の参加曲を確認すべく1枚通して聴きました。結論から先に言うと4と6に参加していました。
古いBig Band風の4,けたたましいペットの音のバックでバッキングが右から聞こえてきます。硬質なサウンドではありますが、他の曲での金太郎飴のようなストラトサウンドとは明らかに異なる艶とノリがあります。曲が始まって40秒ほど経過したところで左からソロが始まります。メロウ&ソフトで語られることが多いDavid T.ですが、Swing Street CafeやDiane Shuurでのプレイでも聴かれるとおり、もちろんBluesyなプレイもバッチリで、タメとツッコミを交えながら、まるでタマを転がすようなプレイで一気に弾き切ります。右の緩急のあるコードバッキングも個性的です。
シリアスな雰囲気が漂うラストの6、粘っこくタメたフレーズで切り込んできます。この頃のアンプのセッティングはトレブルを上げ、ベースはゼロ、ギター側のトーンの絞り具合と”タッチ”でサウンドを決めていた、と後にインタビューで語っていましたがまさしくその通りの音です。ベース成分がほとんど感じられず、トレブリーでありながらタッチとピッキングの強弱で艶やかさや粘りも演出しており、よほどコントロールに自信がないと怖くてこんなサウンドは使えないと思います。常に主役のサックスに寄り添うように並走し、後半では繰り返しフレーズを多用した力の入ったプレイも登場します。
300円の安CD、10倍以上の価値がありました。この頃は、日頃の行いも悪くなかったので(今も悪くないと思いますが)、こんな幸運に巡り会えたのでしょう。
その後、見かけることはありませんでしたが、最近はなんとサブスクにもあるようです。メロウ&ソフトだけではないプレイとサウンド、David T.ファンの方はぜひ聴いてください。
Emotional度 | ♡♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡ |
酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
リンク
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