Jimmy Ponder / So Many Stars (1985)

2023年10月13日 2023年10月13日

domon@guitar

存在は地味〜ですが、味わい深いサウンドとプレイです。

A1. We Can Make It
 2. Save Your Love For Me
 3. Caribbean Queen
 4. When I Think Of You

 
B1. Higher Ground
 2. So Many Stars
 3. Brenda

 


 
Jimmy Ponderの'85年の作品です。これまでもクリスマスものやハンクロへの参加作などを取り上げている私の大好きなギタリストです。名は体を表し、地味〜な存在ですが、60年代からいわゆるSoul Jazz系へのセッションギタリストとして活躍し、74年以降、'13年に亡くなるまで20枚ほどのソロ作をリリースしています。（ソロ作の数だけで言えば、David T.やGale,Dupreeを上回っています）WesやBensonの系譜を組み、Jazzに軸足を置きながらも、70年代〜80年代半ばまではBluesやSoul,Funkなどさまざまな要素を取り込み、Fantasy傘下のMilestoneからのリリースの本作では、ヴォーカルまで披露し、ヴァラエティ豊かな曲揃えとなっています。
初めて買ったのは、”Mean Street No Bridge”で、Super400を抱えたジャケットに箱モノフェチ心が揺さぶられてのジャケ買いでした。芳醇な音色、確かなテクニックと歌心、決して惹きすぎない日本人に通じる謙譲の美徳以前にも書いている通り、LP・CDとも見つけるたびに買っています。（90年代後半以降はリリースと同時に新品で買っています）70年代の作品など、未だに見かけたことがない作品もあります。本作は、90年代の頭にユニオンで1,000円未満で買ったと記憶しますが、本記事を書くにあたり調べたら、Amazonでは10倍近い値段に跳ね上がっていて驚きました。（売りませんが）
ジャケットは、台風後の江ノ島海岸のようにヒトデが打ち上げられているのかと思ったら、タイトルから察するに星のようです。見えない・・・・もっといい素材はなかったのでしょうか？この辺がメジャーになれなかった原因のひとつ？

＜ギターの聴きどころ＞

A1,リズムマシンによるディスコビートで始まり意表を突かれます。宗旨替え？しかしギターが入るとフルアコの甘く豊かな音で、リズムのノリもよく、機械的なバックのサウンドとも以外にもマッチしています。フラットワウンドと思われる太限のチョーキングしづらさがいい味を出してます。自作曲のようで二度びっくりです。
多くのカバーがあるA2、ここではギターに加え、渋い喉も聴かせてくれます。後半には自身のギターとユニゾンでスキャットも披露し、Besnosonになりたかった？（あるいはレコード会社が第二のBensonにしたかった？）などと思ってしまいます。Bensonがビッグネームになってすでに10年ほど経っていて今更感もありますが。
Billy Oceanヒット作ののカバー、オリジナルのチャラチャラ感からは大きくかけ離れたアレンジで、タメのあるスロウでスタート、その後もミディアムテンポのレゲエのリズムに乗り、微妙な揺らぎを感じさせる甘いフレーズが続きます。こっちの方が断然好みです。
自作のA4でもラテン調のリズム乗って、コードやオクターブを交えながら甘く軽やかにテーマを奏でます。ソロでは、指弾きでの微妙なモタりが味わい深いタメを作っています。
Stevie WonderのB1, JBが「ゴ〜ナハヴァファンキーグッタイ」と歌いそうな大胆なアレンジです。テーマが始まると確かにあのメロディなのですが、タメのあるプレイがよりBlues感を強めています。
タイトル曲のB2、イントロが流れた瞬間にメロウさを感じます。焦らしアレンジでなかなか主役のギターまでの間も絶妙で、ギターが入った瞬間に甘いサウンドと共にとろけてしまいます。ドラムの洗練されていないドタドタ感とのマッチングもよく、程よいイナタさがあります。ラストにフェイザー？を踏むのが残念！時代はとっくの昔にコーラスだったのでは？
ラストは哀愁を感じさせる自作で締めます。指弾きでのニュアンス表眼が素晴らしく、特にオクターブプレイの素晴らしさ、なんとも言えず聞き惚れます。ダイナミクスを感じさせる曲とサウンドとプレイ、9分の長尺が短く感じられます。
あっという間に7曲が終わってしまい、続けて他のアルバムも聴きたくなるほどです。80年代後半からは、ストレートなJazzに回帰した作品が続きますが、こちらもどれもいいプレイばかりです。ぜひ聴いてください。