Lou Donaldson – Say It Loud! (1969) - Jimmy Ponder

私は地味〜じゃない!(By ゆーづ)

1. Say It Loud, I'm Black And I'm Proud	
2. Summertime
3. Caravan
4. Snake Bone
5. Brother Soul




Lou Donaldsonの'69年の作品です。アルト奏者として50年代のデビュー以降Blue Noteレーベルから多くのレコードをリリースしておりビバップからスタートしましたが、60年代からは「コテコテ路線」に傾き(90年代ブームになりました。'93年の日本でのライブ、"Coolin ’N' Groovin")にも参加していました)、多くの脂っこい作品を残しています。本作もJBの名曲をカバー、タイトルにも冠しFunkyに迫っています。
私は、先述の”Coolin〜”のビデオでこの人のことを知りました。人の良い普通のオッサンのような風貌、少し間抜けなボーカル、Funkyながらとぼけた味わいもあるサックスに魅了され、レコードを集め始めました。しかしブームもあってアナログはどれも高く、本作は再発された輸入盤のCDをアナログの1/5ぐらいの価格で購入しました。カッコ良くなりきれないイナたさやそこはかとなく漂う中年男の悲哀(上野や北千住のせんべろ店でカタイホッピーを飲んでそうです。なぜかいか八郎というアルトを吹く芸人を思い出します。)が魅力の一つとも思っておりますが、女性をジャケットにあしらい本人をフロントに出さなかったことはセールス的には正解だったのでしょうか。Christopher Crossや日本におけるBill LaBountyの先駆け?

<ギターの聴きどころ>

そしてギターはPonderさんです。名前の通り地味〜な人なのですが意外にも1,4,5のFunkでノリの良さも見せています。1は原曲は同じJimmyながら決して地味〜ではないJimmy Nolenがプレイしていましたが、Ponderさんも負けていません。フレーズ的にはNolenさんがテレのパキパキサウンドで鋭く切り込むのに対し、Ponderさんはフルアコ(この時期はまだ175?)のセンターと思われ、クリスピーなサウンドながらトーンを若干絞り甘さを残しています。親分の性格と仕切りの徹底度の違いからか、どちらもHeavyでFunkyですが、DonaldsonおっさんのバージョンはJB親分のように険悪な緊張感を感じません。従い地味なPonderさんもソロでも緩急をつけて低音部から高音部まで使って伸び伸びと弾いています。JBの元でプレイしたらまた違ったフレーズが出てきたかも知れません。でも、上司にするなら絶対Donaldsonの方がいいです。そもそもJBは行き過ぎた統率がパワハラとして社外窓口に通報され、多くの証言に基づき会社クビになっているかも知れません。
閑話休題、一転して2ではJazzスタンダードで、ソロはBlue Mitchellに任せてここではコードリフ等バッキングに終始しています。お得意のジャンルなのに不完全燃焼であったのでか、約30年後に地震のソロ作”Ain't Misbehaving”でテンポを早めて再演しています。
3はラテン風味にあるアップで、ここではこれぞフルアコ!というサウンドでGroovyなコードバッキングを聴かせます。エンディング付近で短いながらノリのいいソロもあります
4,5はDonaldsonのオリジナルです。4ではWes大先生に迫るオクターブソロです。
5では若干テンポを落としますが、ウネるノリが強烈です。Ponderも中間部で弾けるソロを聴かせます。ついつい気合が入ったのかアンプのヴォリュームを上げたらしく、音が割れています。
アルバムを通して、Charles EarlandのオルガンとBlue MitchellのトランペットがJB並に自己主張するため、Ponderもバッキングが主ですが、ノリの良さやここぞというところでの爆発力では負けていません。俺は地味〜じゃない!と言っているかのようです。ラヴィットでゆーづが「私は嘘つきじゃあない」と力んでいる姿と被りました。





Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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Lou Donaldson – Say It Loud! (1969) - Jimmy Ponder” に対して5件のコメントがあります。

  1. 縞梟 より:

    こんにちは。

    ルー・ドナルドソンさんの作品でチャールズ・アーランド&ムハマッドの
    リズムセクションが脇を固めれば悪いわけないのに、何故かこの1枚が聴き抜けていて
    何故だろうと考えると、一時メルヴィン・スパークス&ムハマッドコンビを
    追っていた時期があり、この作品はメルヴィンじゃなかったのでスルーして
    買わなかったのかなと。

    ポンダーさんは前年の「Mr.Shing-A-Ling」を聴いて興味があったので
    ソロアルバムを聴いてみたいと思っているのですが、何かお勧めの
    1枚がありましたら教えていただけると幸いです。

    (PS)
    この頃のジャズアルバムは一時、女性ジャケットが大流行で
    (脂ぎったおっさんジャケットよりは確実に売れますからね)
    誰の何のアルバムだか分かりにくいのがなんともです(苦笑)

    1. domon@guitar より:

      こんばんは。コメントありがとうございます。ポンダーさんは地味〜だと揶揄しておりますが、割と器用に弾きこなす引き出しの多さがあり、軸足はWes直系のJazzながら、ソロの初期はBeatlesやCreamのカバーもやったりしており、サウンドもワウやフェイザーをかけたりしているものもあります。80年代後半以降はリバーブなしどころか、アンプも使わない生音(アコギではなく大型フルアコのマイク録り)まで登場します。従いまして、私めの好みは断然後期なのですが、縞梟さんの好みを推察すると1枚目 ”While My Guitar Gently Weeps”、2枚目”Illusions”、3枚目”White Room”あたりが気に入っていただけるのではと勝手に持っております。ストリングスが入ったりして???の曲もありますが・・・・。しかし、高いだけではなく、ユニオンで見かけたのは40年近くのレコード探しの中でそれぞれ1回だけです。
      テクだけではなく歌心もあるギター、歌も歌いますし、本人がもっと立ち回りが上手ければベンソンに並ぶスター的な存在になり得たのではと思っております。不器用な人には冷たい世の中ですね!よろしくお願いします。

  2. 縞梟 より:

    こんにちは。
    推薦盤ありがとうございます。
    私はレコードコレクターではないので、CDはそこそこ入手可能みたいなのですが
    ストリングスが入るのですか・・・
    アルバムタイトルからして人気ロック曲カバーみたいな感じで
    晩年のウエス・モンゴメリーさんのシティー・ミュージック・ジャズ・シリーズ
    みたいな感じだとちょっと萎えてしまいますね・・・
    地道にアーランド、リチャード・グルーヴ・ホルムズ、ジミー・マックグリフなど
    コテコテオルガンシリーズの参加作品を追ってみることにします。
    ありがとうございました。

    1. domon@guitar より:

      こんにちは。
      そっち系だと ソロアルバムでは Mean Streets - No Bridges でしょうか
      オルガンはbig John Pattonです。ジャケのsuper400もいい感じです。本人はダン池田か具志堅ですが。

  3. 縞梟 より:

    こんにちは。ダン池田(笑)これは良さそうですね。しかし、これはCDでもなかなか入手難みたいなので気長に探してみます。

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