Marvin Gaye / Let’s Get It On (1973) – David T. Walker
セクシーを通り越してエロティックなプレイです。
A1. Let's Get It On 2. Please Don't Stay (Once You Go Away) 3. If I Should Die Tonight 4. Keep Gettin' It On B1. Come Get To This 2. Distant Lover 3. You Sure Love To Ball 4. Just To Keep You Satisfied Marvin Gayeの'73年の作品です。13枚目のスタジオアルバムにあたり、先行して発売されたEd Townsendとの共作の同名シングルの大ヒットの中でリリースされました。ニューソウルの代表的作品である”What's Goin' On”の社会的メッセージから大きく方向を転換し、本作では性愛をテーマとし、ヴォーカルも60年代のシャウトスタイルからファルセットを多用したセクシー路線へと変わっています。セールス的にも大成功を収め、代表作の一つとしてソウルのガイドブックにも必ず取り上げられる有名作ですので、私なんぞのいまさらの解説は不要かとも思います。 高校生の時に、父親に射殺されたというショッキングなニュースでその名を知りましたが、実際に曲を聴いたのは、上京後購入した”Live”が初めてでした。そこでのDavid T.の活躍を知り、他の作品も集め始めた中の1枚でした。さすがのロングセラー作、輸入盤も廃盤となることはなく、Towerの赤シールで安価に購入できました。当初はファルセット多用のヴォーカルを軟弱に感じましたが、何度か聴いているうちに、徐々に濃厚な官能美の世界にハマっていくこととなりました。
<ギターの聴きどころ>
裏ジャケのクレジットには、David T.はじめ、Eddie Willis, Lewis Shelton, Melvin Ragin(Wah Wah Watson), Robert Whiteの5人のギタリストが載っています。 A1, 印象的なWahのイントロフレーズからスタートします。何かのインタビュー(はっきり思い出せません)で、David T.が「あのフレーズを弾いたのはワシじゃ!」と言っていましたが、ずっとWah Wah Watsonだと思っていました。A2目のWatsonと思われるWahのバッキングが右で、David T.節前回のB3が左なのであり得る?でもLiveではエレピが弾いています。真相は? そのB3では,イントロからハンマリング&プリングの連続技で、右の女性のアヘ声に勝るエロティックさを発揮しています。ヴォーカルが入ってもコードのアルペジオにダブルストップなどのオブリを交えて官能的なムードを盛り上げます。矢継ぎ早に出てくる珠玉のフレーズの数々、聴くたびにため息が出ます。一歩間違えると下品にもなりかねない意味深な歌詞ですが、Marvin Gayeの曲の中でも5本の指に入るセクシーな曲です。David T.の参加は以上のみと思われますが、ギターマガジン2017年7月号の特集「モータウンの歩き方」にも取り上げられるほどの名演です。 なお、+29と題して、別ヴァージョンおよび未収録曲を含めた2枚組CDも発売されており、こちらには相当数のDavid T.参加曲が含まれています。(上記のギタリストに加え、Ray Parker Jr.も参加していると思われます。) 内容的にも、没にさっれたとはいえ、厳しい選択の中で、泣く泣く収録が見送られたと思われる程の良い出来です。併せて聴いてみてください。
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡ |
酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
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