渡辺香津美 / Dogatana (1981) – 山岸潤史

香津美さんの1日も早いご快癒を祈念します。

A1. Nuevo Espresso
2. Loosey Goosey
3. Ti-Fa-Let
4. Island


B1. Diana
2. Waterfall - Autumn
3. Please Don't Bundle Me
4. Haru No Tsurara





渡辺香津美さんが脳幹出血で緊急入院されたとのニュースを読みました。一日もはやいご快癒を祈念しつつ、山岸さん、石田さんとの共演曲を含む'81年の作品をご紹介したいと思います。17歳でレコードデビュー、早熟の天才ギタリストとして注目を集め、その後も内外のトップミュージシャンとの共演を重ね、多くのソロ作をリリースしており日本を代表するJazzギタリストとして常に第一線で活躍されてきました。本作は、エレアコ(当時大流行したOvation Adamasです)を使用し、Mike Mainieri(A1)やLarry Coryell(B2)との共演でも話題になった1枚のようです。
(ギターマガジンやジャズライフなどでギターを始めた当初から名前だけは知っていたのですが、初めて聴いたのは”GuitarWork Shop”でのプレイでした。正直なところ、山岸さん、大村さん、森園さんと比べると器用になんでも弾きこなせる才能にむしろ個性を感じず、自分にとっては印象が薄かった記憶があります。90年代以降、他の作品も安レコを中心に集め始め、Jazz,Rock,BluesなどオールジャンルOKのプレイスタイルで、伝統的なものから実験的なものまで取り組める幅広い音楽性を改めて認識しました。(使用楽器も巨匠のハンドメイドフルアコからAlembicの電気まみれまで幅広く使用し、ギターに関しては山岸さん同様「浮気性」なのだと思います。羨ましい!)

<ギターの聴きどころ>

インナーには参加ミュージシャンの写真に加え、個別曲のクレジットがあり、それによると山岸さんは石田さんと共にA2に参加しています。本作の少し前にリリースされ世のギタリストを震撼させたというJohn McLaughlin、Al Di Meola、Paco De Luciaから成る「Super Guitar Trio」をもじった「勉強トリオ」としてライブなどで活動しておりその一環としてのレコーディングだと思われます。左、中央、右の3本のエレアコ(当時大流行したOvation Adamas)のみで構成されており、香津美さんは12弦ですので響きからして右でしょう(ややエレガントですし)。問題は山岸さんと石田さんの判別です。「Sooo Baad Revue」でも互いに影響を受け合い、鎬を削った二人、いずれもワイルドでガッツ溢れる演奏なので判別が難しいのですが、繰り返しフレーズの多用やピッキング・チョーキングのタメ癖などから左が山岸さんでしょうか?後半は各パートで、ボディをぶっ叩いたり、激しく弦を擦ったり、奇声を発したりとリミッターが外れたような激しい演奏となり、聴く方にも体力が求められます。同じギター共演(相手はLarry Coryell、これもAdams同士、当時どれだけ流行ったんでしょうか?最近は全く見ませんが)のB3とは全く趣きが異なります。
その他の曲では、エレアコの響きを生かした冷たさを伴った透明感のある一人多重奏の曲が多く、どれも美しいのですが、自分の好みとはちょっと違った気がしました。(なおB4のみエレクトリックも併用しています)
好みで言えば先のA2も自分にはToo Muchなのですが、お元気になってこういう曲も弾いて欲しいという願いから本作を取り上げました。本作のみならず香津美さんのLP,見かける頻度が減っていますが、サブスクにもあるようなので是非聴いてみてください。




Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡

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