Phil Upchurch & Tennyson Stephens / Upchurch Tennyson (1974)

想像と違いましたがバラエティに富んだ名作です

A1. You Got Style
 2. Ave Maria
 3. In Common
 4. Tell Me Something Good
 
 
 
B1. Don’t I Know You?
 2. South Side Morning
 3. Evil
 4. Black Gold
 5. I Wanted It Too


 
 
Phil Upchurchとキーボーディスト/ヴォーカリストのTennyson Stephens の'74年の連名盤です。Creed Taylorプロデュース、Bob JamesアレンジでKUDUからのリリースです。Upchurchは、Bensonの"Weekend In L.A."やDonny Hathawayの"Live"に参加しているギタリスト、という程度の認識だったのですが、ロイク系セッションギタリスト集結の"Spirit Traveler"を聴いて、独特のタメやチョーキングとヴァイオリン奏法の組み合わせなど個性の強いプレイに惹かれ、ソロ・セッション作とも集め始めました。手持ちのレコードにもJazz,Soul, Bluesなど結構クレジットされていました。
本作は、Spirit Travelerの次に買ったUpchurchのレコードで、日本盤の中古800円茶水のUnionのJazz館で日本盤の中古800円ぐらいだったかと思います。ジャケットの写真(アフロ田中のようなUpchurchとアフロの陰からかろうじて顔を出しているTennyson、しかも上半身裸だし!)だけ見るとなんのレコードなのかさっぱりわかりませんが、裏ジャケにはギターにGaleの名前があり(ベースにも)、期待が膨らみます。


<ギターの聴きどころ>

Kuduなので、ギターとキーボード主体のSoul色の強いフュージョン盤を想像したのですが、針を下ろすとメロウなストリングスに続いてヴォーカルが入ってきました。あれ?と思いつつ聴き進めるとヴァイオリン奏法等のオブリをいれてきています。アルトのソロはSanbornのようです。
続くA2は何と讃美歌です。ポップかつメロウに生まれ変わっていますがどういうコンセプト?ギターは右のアコギと左のWahカッティングですがこれもUpchurch?
A3もストリングスに続いてヴォーカル、左からギターのバッキング聴こえるけど地味です。
A4はRufusのカバーです。WahカッティングにSanbornの吹くテーマが乗ってきます。WahサウンドのままSanbornに絡み、後半はソロに突入します。Funkyなのですが、燻銀などと雑誌で紹介されているUpchurchのイメージとは違うソロでした。むしろWah Wah Watsonかと思ってしまいました。
気を取り直してB面を聴きます。
B1,Groovyなリズムにヴァイオリン奏法がクイクイと入ってきていい感じです。
B2もメロウグルーブで、エレピのソロに続いて、Upchurchのソロです。ヴァイオリン奏法や速いパッセージを組み合わせて緩急をつけています。余談ですが、山岸さんはかなりこの音使いを参考にしているのではと感じました。
B3も、Wah・フェイザーの強いサウンドですが、Grooveに乗って弾きまくっています。
B4はおどろおどろしいシンセが妖しいムードでスタートします。ギターソロに入るとフェイザーサウンドで速いフレーズを中心にひきまくります (本作で最も長いソロです)。この曲は後年のライブ盤にも含まれており、Upchurcお気に入りの1曲のようです。
ちょっとBilly Prestonを思わせるラスト、左はWah,右はナチュラルサウンドでのバッキングです。特に左では様々なパターンを繰り出しており、セッションギタリストとしての引き出しの多さを感じさせます。
1枚通して聞くと、
・ギターメインを期待すると肩透かし
・収録された曲がヴァリエーションに富みすぎて散漫な印象を受ける
・ギターサウンドエフェクトかけすぎ
で、初めて聴いた時はやや期待はずれの印象でした。ギターアルバムを期待し過ぎていた、BJさんのストリングアレンジが自分の好みではなかったのだと思います。
この後に買った他のリーダー作品の方が自分の好みに合っていたことも有り、しばらくターンテーブルに乗ることも有りませんでしたが、10年以上後に手持ちLPのデジタル化を進めるなかで聴いてみたら、A1~A3,B5のメロウさ、B1~B2のグルーヴィさ、そしてUpchurchのバッキングのうまさに改めて気づき、その後は結構ヘビロテしています。
なお、日本盤にはのUpchurchの詳細な紹介や譜面付きの奏法解説が入っています。ファンの方が狙うなら日本盤がおすすめです。













Emotional度♡♡♡
Bluesy度♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡ 

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