David Benoit / Letter To Evan (1992) – Larry Carlton

静かな中にもエモーションを感じます。

 1. Letter To Evan
 2. Waiting For Love
 3. On Golden Pond
 4. The Island
 5. Looking Over Eastlake
 6. Knit For Mary F.
 7. Kathy's Waltz
 8. Things Are Getting Better
 9. Spring Can Really Hang You Up The Most
10. Take 6
11. Blues At Sunset




 
David Benoitの'92年の作品です。L.A.を中心に活動するJazz/Fusionのピアニストで、'77年のデビュー以降、相当数のアルバムをリリースしており、本作はじめJazzチャートを賑わせた作品も少なくありません。日本での活動では、吉田美和さんのbeauty and harmony2とリリースに合わせて開催されたライブにも参加していました。
本作は、JazzLifeの新譜欄でCarlton参加作として紹介されており、日本盤も出たのですが、2500円だったので数百円安い輸入盤を買いました。CarltonがGRPに移籍したために実現した組み合わせかもしれません。



<ギターの聴きどころ>

個別曲のクレジットが記載されたブックレットが入っており、Carltonは、3,4,9,11の4曲に参加しています。髭を蓄えた精悍な顔付きでBenoitと肩を組んだ写真もあり、信頼の高さが窺われます。(Carlton参加によるセールスを伸ばすための演出ではないと思います。)
3は、優しいメロディーとフルートの音色が印象深いスロウ(というより本作はスロウしかないのですが)で、Carltonは左でアコギによるアプぺジオなどのバッキングを担当しています。
4では、エレクトリック(おそらくこの時期使用していたL5("Kid Groves"のジャケットに写っているギター))と思われ、ノンエフェクトのナチュラルトーンでイントロから絶妙なピッキングコントロールで表情をつけます。ソロも弾きまくることはなく、感情をこめて必要なノートだけをプレイしているという印象です。
9は主役のピアノとのデュエットです。左手が弦を操る音まで鮮明に聴こえるセンシティブなプレイで、翌年の"Renegade Gentleman"のアグレッシブなサウンドと同一人物が弾いているとは思えません。(感情が込められているところは共通しています)
11はJazzもBluesもルーツに持つCarltonにピッタリのJazz Bluesです。(自分的にはBluesではなく音使いもプレイもJazzです。これもBluesアルバムとしてリリースされた"Renegade~”と同じカテゴリーには思えません、自分にしてみると"Renegade~”はRockなのですが。)
どの曲も、いい意味で薄めなBenoitのピアノ(Joe SampleやRichard Teeと比べて)とCarltonのダイナミクスのあるナチュラルトーンがマッチしており、空間の多いサウンドが深みを増しています。この頃、続々と出てきたSmooth Jazzの単調さ、無機質さとは一線を画しており、静かな中にもエモーションを感じます。
2,10のギターも他の作品への参加を知りませんが、本作の統一された雰囲気に溶け込んだプレイです。
ようやく涼しくなってくるようなので、これから秋に向けてぜひ聞いてみてください。






Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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