Tom Scott – Apple Juice (1981) – Eric Gale

同じバックのメンバーでもクリスタルにはなりませんでした。

A1. Apple Juice
 2. Gonna Do It Right
 3. We Belong Together
 4. So White And So Funky

 
B1. Gettin' Up
 2. In My Dreams
 3. Instant Relief

 


 
Tom Scottの'81年の作品です。個人名義では初のライブ盤で、N.Y.のBottom Lineでの3日間の公演より抜粋されて製作されています。Gale,Gadd,TeeのStuff組に加え、Marcus Miller,Ralph MacDonaldという豪華なバック、"Winelight"と全く同じ顔ぶれで、主役がサックスであるところも、リリース時期もほぼ一緒であるにも関わらず「クリスタル」にならないアーシーなサウンド、プロデュースも自身で行うTom Scottの意向が強く反映されているものと思います。リンゴがサックスをブロウするジャケットもクリスタルとは程遠く、水木しげる(ゲゲゲの鬼太郎)か、やなせたかし(アンパンマン)のキャラの世界、あるいはマグリットのシュールな世界です。クリスタルな恋人たちもこのジャケットを見てしまったらBGMには使わなかったと思います。
"Blow It Out"でのGale参加に味をしめて、Tom Scottのアルバムを本格的に集め始めた(ただし安レコ限定)中の1枚で、本作の目当ての一つもGaleのプレイでした。リンゴを齧りながら聴きました(嘘です)


<ギターの聴きどころ>

裏ジャケにはメンバーの写真が載っており、GaleはいつものSuper400、McCrackenはストラトでしょうか?
Galeのキレも重みもあるカッティング(左)でライブが始まります。Teeのエレピ、McCrackenのスライドプレイ(右)が続き、ドラム、ベース、パーカッションのリズム隊が最後に入ってきます。リズム隊 → 上物 がライブのオープニングの通常のパターンなのですが、全く逆の上物 → リズム隊の入りで、このヒネリもTom Scottのこだわりなのでしょうか?
続くA2でもMcCrackenがでテーマのユニゾンやリフなど小器用に様々なパターンをプレイ、一方のGaleは一貫して、淡々としかしGroovyにリズムを刻みます。
TeeのRhodesがメロウなA3、左右ともミュート多用のバッキングやダブルストップ多用のオブリでGaleの得意技ですが、左のMcCrackenがGaleに寄せてきているのだと思います。右の方がよりアタックとアクが強いので。
A4では、なんとDr.Johnが登場します。独特のダミ声で一気に会場の空気が変わり、バックもFunk度の高いプレイに変わり、クリスタル感からさらに遠ざかります。Galeもキレのあるカッティングや、粘っこいリフ・オブリを組み合わせてフリーにプレイし、アクの強さで応答します
メロウ感のあるB1、左のダブルストップ,カッティングもGaleオマージュなのですがやや弾きすぎで、少ない音数で存在感を発揮する右の本家と比べると随分と薄味に感じます。
本作唯一のスロウ、幻想的なムードのイントロからリリコンが入ります。左のバックはなんとアコギです。"Blow It Out"でもアコギをプレイしていましたが、ここでのソロもタメとピッキングの強弱による哀愁と激しさが同居するエモいプレイです。アコぎのハイポジションでここまでチョーキングするとは恐るべし!
アップのラストB3、ここでも左のMcCrackenがユニゾンテーマやバッキングなど多彩なプレイをしていますが、Galeはスタイルを変えることなく、力みも気負いもないカッティングで我が道を行っています。Marcus Millerが本気度120%の渾身のベースソロを弾いているのに対し、Gaddが7割ぐらいの力で余裕と遊びあるのドラムソロであるところと何となく似通っているように感じられました。
ライブならではの熱気に溢れた本作、ぜひ聴いてください。










Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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