Larry Carlton / Sleepwalk (1982)

サウンドも方向性も変わりました。

A1. Last Nite
 2. Blues Bird
 3. Song For Katie
 4. Frenchman´s Flat

 
B1. Sleepwalk
 2. Upper Kern
 3. 10:00 P.M.
 4. You Gotta Get It While You Can
 


 
Carltonの'82年の作品です。B1を除き自作、前々作"Larry Carlton"・前作"Strikes Twice"同様プロデュースもアレンジも自分自身、加えて本作ではオケの指揮までやっています。(裏ジャケに写真があります)Fusion全盛期の勢いとCartonの人脈・人望でバックのメンバーも恐ろしく豪華です。
記憶を辿ると、前々作は図書館で聴いてレンタルレコードからテープに録音、前作はレンタルレコードで録音しており、次作のの"Friends"が初めて買ったCarltonのLPでした。約2ヶ月後、同じレコード店でジャケットに汚れがあるとのことで1000円で購入したのが本作です。吹雪の中を自転車で急いで帰り、ミルクと砂糖の入った熱いコーヒーを飲みながら聴きました。(今だったら熱燗やお湯割りをお供にするのですが、その時は高校生だったので!)

<ギターの聴きどころ>

前の2作では、335にBooggieの組み合わせによるドライブサウンドを基調としており、Carlton自身のヘタウマからウマが取れたヴォーカルが入っている、一発目にポップな押し曲を、ラストに泣き曲を配置するなど共通した音作りや構成だったのですが、本作では一変しています。裏ジャケのタイトルのところに使用ギターが記載されており、8曲中4曲でValley Artsのストラトを使っています。(Special Thanks のところにはIt's great!と書かれていますのでよほど気に入ったのだと思われます。なお、バッキングはCarlos Riosです。
A1、ピック弾きと思われるAbeのベースとGaddのハットがハードボイルドな世界を作ります。続いて入ってきたのはストラトのナチュラルトーンでした。ギターが変わってもチョーキングやビブラート、ピッキングのコントロールにより哀愁漂うメロディを表現力豊かに歌い上げるプレイはCarltonのプレイです。この曲はこの後長くライブでの定番曲にもなっています。
続く2も、さらにニュアンス表現に磨きをかけたプレイで、弦を撫でるようなピッキングから力強いチョップまでを駆使したピッキング、フィンガーボードに蝋でも塗ったかのような滑らかなフィンガリング、3連も交えたタメのリズムで、Bluesyにそしてエロティックにキメます。ギターは335かと思いましたが、GuildのBluesBirdでのプレイと書かれています。(数年後のギターマガジンで写真を見たらシングルカッタウェイのは箱モノでした。未だに現物を見たことはありません。)
A3はシングルコイル+コーラスサウンドによるバッキング(独奏)でスタートし、そこに甘く艶やかなサウンドが入ってきました。これは335でしょう。ヴォリュームペダルでドライブをコントロールしており、中盤からは艶に粘りが加わったサウンドでキャッチーなメロディーを紡いでいきます。
Jeff Porcaroのシャッフルが印象的なA4は、これまでの路線を踏襲した曲調です。335の重ねによるハモリ、センスとテクニックがあってこそのプレイと思います。
タイトル曲のB1は50年代のヒット曲のカバーです。原曲は未だ聴いたことがありませんが、タイトル通りの夢現な美メロをストラトで歌います。自身のアレンジによるストリングスの美しさも音楽的な素養の高さを感じさせます。(BJのようにオーバーアレンジでないところが良しです)
日本でのライブ盤でも収録されていたB2,パーカッションやオルガンがSantanaを彷彿とさせる曲です。Sanbornも参加しており、本作では最長の7分半を弾き切ります。エンディングのドライブやエフェクトを絞ったサウンド演出も見事!
B3は、A1と共通するハードボイルド感を感じさせる曲で、Valley Artsの硬質なサウンドが夜のイメージを作ります。
B4はGaddの叩くリズムがJeff Porcaroとは違ったGroove感を作っていて、Abeのチョッパーがうねりを加えています。この曲では強めのドライブで大きなリズムでプレイしています。
A1にスロウ、ラストにアップを持ってきていて、あきらかに前二作とは方向性が変わってきました。サウンド面でもドライブを抑えめにしており、その分ニュアンス表現がより際立っているように感じます。この頃は、RockとJazzの融合などと言われ、あまりBluesの視点で語られることのなかったCarltonのプレイ、どの曲も実にBluesyです。
先に”Friends”を聴いていたので、驚きは半減でしたが、前二作のヒットにより、自身がやりたいことを自身のスタジオであるRoom335で完結できるようになったのでしょうか?
自分にとっては冬のイメージが強い本作、買ってから40年近く経とうとしていますがこれからの季節にまたじっくり聴きたいと思います。





Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡  Blues 曲はありませんがBluesyです
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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