Nick DeCaro / Italian Graffiti (1974) - David T. Walker
A1を聴いた瞬間ヤバいと思いました。(裏表のジャケット写真も)
A1. Under The Jamaican Moon 2. Happier Than The Morning Sun 3. Tea For Two 4. All I Want 5. Wailing Wall B1. Angie Girl 2. Getting Mighty Crowded 3. While The City Sleeps 4. Canned Music 5. Tapestry Nick Decaroの'74年の作品です。A&Mから独立したばかりのTommy LiPumaとの共同プロデュースも、アレンジ、キーボードも自ら担当、豪華なメンバーを集めてレコーディングされています。ソングライターでもあるのですが、本作では自作曲が1曲もないことは今にして思えば意外です。(実力の割にリーダー作が3枚しかないことも) 顔と声が一致しないことでは、Christopher Cross、Bill LaBountyと並んで有名(私の中で)ですが、裏ジャケも含め堂々と顔出しているところは立派です。(失礼ながら地方の資産家の御曹司が親に無理やり取らされた見合い写真に見えます。せめて床屋ぐらい行けばよかったのに、と年老いた母が嘆いていそうです。)元祖AORとの呼び声高い本作、AOR全盛期の日本では、秘技:ジャケット差し替えの術が連発されていましたが、この時期はまだまだおしゃれ度よりも内容が重要だったのか、オリジナルのままのジャケットが使われています。 本作は音楽雑誌でDavid T.の参加名盤として特集記事の際に必ず取り上げられており、裏ジャケにもその名が記載されていましたが、そもそものプレス数が多くなかったようで希少価値からかお値段もそれなりで、なかなか手を出せずにいました。達郎さんのカバー特集盤Love Stormの方を先に聴き期待も高まったところで、'92年のCD再発により値下がりしたところでようやく入手できました。後々の日本での人気はともかく、本国アメリカでのリリース時はセールスも振るわなかったようです。ジャケットを変えれば売れていた?そして、その後のソロ作のリリース数も変わっていた?'92年の早すぎる死が残念でした。
<ギターの聴きどころ>
個別曲のクレジットはありませんが、David T.は、A1,B1には間違いなく参加していると思われます。 A1のイントロを聴いた瞬間ヤバいと思いました。左から濡れた甘い音でオクターブで攻めてきます、これまでもDavid T.のオクターブ、Stevie WonderのVisionなどで聴いていて免疫はあったはずが、音色やリズム感から来る官能性からまずやられてしまいました。囁くような物憂げなヴォーカルが入ってからもテロリロフレーズやダブルストップ、弦を強く弾くスラップなど得意技を次々と繰り出し、曲のムードを盛り上げます。ソロに入ってもいきなり強いピッキングのフレーズで切り込み、タメとツッコミ、ピッキングの強弱によりダイナミクスで、短さを感じさせません。エンディングに向けても緊張感と甘さを兼ね備えたフレーズで、ハードなピッキングでは愛機息バードランドのスプルーストップがビンビン鳴っているかのようなサウンドで、息つく間も無く聴き入っているうちに曲が終わってしまいました。 David T.の名演として5本の指に入るプレイだと思います。 A3の長い導入後、本編に入った後微かに聴こえるギターも、もしかしたら、です。 Stevie WonderのB1,左のコードバッキング・オブリは、サウンド、フレーズからDavid T.と思います。 David T.ファンの端くれとしては、1曲目のインパクトがあまり強すぎて他の曲が霞んでしまいますが、上記以外の曲でのArhtur Adamsのプレイもソウルバッキングとして味わい深いものがあります。(Joni MitchellカバーのA4のソロなど結構David T.と似通ったフレージングもあります)二人は、Otis Redding Tribute作でも共演しています。 本作、Carltonを呼んでもいいプレイをしたのでは?と勝手に想像しています。(Michael Franksの作品を聴くとそう感じます)
Emotional度 | ♡♡♡♡♡ A1のギターの熱さ、聴いてください。 |
Bluesy度 | ♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡♡ |
酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
顔と声の不一致度 | ≠≠≠≠≠≠≠ |
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