The Kazu Matsui Project Featuring Robben Ford ‎/ Standing On The Outside (1983)

BluesmanはMellowもイケてます。

A1. Standing On The Outside
 2. Time Flies
 3. Save Your Time For Me
 4. Me On The One Side
 5. Wheels Of Love

B1. Tell That Girl
 2. Illusions
 3. Sunset Memory
 4. Love's A Heartache
 5. Sun Lake


The Kazu Matsui ProjectのRobben Ford をフューチャーした1983年の作品です。AORの名盤として人気の高い(値段も高い!)このアルバムは、歌物中心で(Robbenも2曲歌ってます)、日本ではRobben Ford名義でLove's Heart Acheとして発売されました。いきさつはよく分かりませんが、当時のフュージョンギターブームに乗っかって、Carlton、Ritenourに続く存在として売り出したかったのでしょうか?自分が初めて聴いたのも日本盤と思います。NHK-FMでフュージョンギタリストの特集としてインストのB3(女性コーラスは入ります)とB5が流れました。その頃、Robbenのことは名前しか知りませんでしたが、2曲ともよく歌うギターで、その当時、録音したカセットテープをよく聴いていました。上京後、Inside StoryやTalk To Your Daughter(どちらも名盤です)を聴いて本作のことを思い出し、買おうとしたのですが中古でもいい値段がして見送ってしまいました。その後もレコード屋にいくたびにチェックするのですが見つからず、いつの間にかCDはバカ高い値段になっており、諦めていたところジャケットは同じなのにタイトルが違う本作がUnionのエサ箱に入っており、不思議に思いながらも、めでたく手に入れることができました。(その後、ネットでUS盤と日本盤のタイトルの違いを知りました。)中身は全く同じようで、結果オーライです。
Kazu Matsuiさんは、Time No Longerで、Carlton,Ritenour, Robben, Lukather を集めるという快挙をやってのけますが、サウンドが結構Rock寄りなので最近はあまり聴いてませんでした。新たな発見があるかもしれないのでまた聴いてみたいと思います。

<ギターの聴きどころ>

哀愁のあるA1(曲もRobbenです)や、ポップなA4,B1ではストラトによるアルペジオやカッティングが印象的で、歌物バッキングの名手であることを改めて認識しました。
スロウのA3や、BozのLido Shuffle を彷彿とさせるA5ではドライブソロが歌っています。CartonもRobbenのこういうギタースタイルに衝撃を受け、自身のプレイに取り入れたとのことです。のちのMichel LandauやDunn Huffなどのセッションギタリストのディストーションソロにも影響が大きい気がします。
まさしく夕暮れに
タイトル通り夕暮れによく似合うB3では、チョーキングやピッキング、ミュートなど絶妙にコントロールし、ストラトのハーフトーンがささやき、歌い、流れるような美しいプレイです。懐かしさもあって、聴くたびに幸せな気持ちになります。
ラストのインストB5が最も当時のフュージョンらしい曲で、やはりよく歌うギターです。
前出のInside StoryやTalk To Your Daughter(どちらも名盤です)とはカラーが全く異なり、のBlues Feelingは前面に出していないので、好き嫌いが分かれるかもしれません。この後、ルーツであるBluesに帰って行き、Mellowさを薄めて行ったRobbenですが、Bluesの表現力を駆使してギターを歌わせ、泣かせるということでは本作でも十分に持ち味を発揮していると感じます。個人的には、甘さも渋さもある本作が彼の作品の中で最も気に入っています。