佐井好子 / 胎児の夢 (1977) – 松木恒秀
シュールな世界でのいつにない激しいプレイです。
1. ヒターノ 2. アルハンブラの青い壜 3. ある晴れた夜 4. 波止場 5. 春の夢 6. 海の沈黙 7. 青いガラス玉 8. 遍路 9. 白昼夢 10. 胎児の夢 佐井好子さんの'77年の作品です。愛読する夢野久作の世界をモチーフとした自作の詞に、やはり自作の曲を大野雄二さんがアレンジ、腕利きのミュージシャンがバックを務め、透明感と緊張感のある歌声で、幻想的かつ耽美的な世界が繰り広げられています。シュールながらどこかもの悲しげなジャケットも画家でもある佐井さん自身の筆によるものだそうです。 本作を購入したのは最近です。松木さん参加作としてWikiにも載っているのを見てAmazonでポチりました。LP盤はユニオン昭和歌謡館で何度か見かけた記憶がありますが、見るたびに値段が上がっていたような記憶があります。、P-Vineさんに感謝です。BluesやSoulだけではないのですね。
<ギターの聴きどころ>
ギターは松木さんがエレクトリックとアコースティック、杉本さんがガットです。 インストの1、エキゾチックな杉本さんのガットプレイに対し、左のヴァイオリン奏法など効果音的なプレイです。 2、4、5はアコギのアルペジオです。比較的ノーマルなプレイです。後年、アコギでのレコーディングは減っていきますが確かな技術と表現力です。 不思議なメロディを持つ3は左はアコギのバッキング、右はクランチサウンドでの粘っこいオブリです。中間部にはチョップを効果的に使ったエモーショナルなソロが入ります。 6でも、左がアコギ、右がストラトハーフトーンによるタメとツッコミの松木節オブリです。ソロが始まったと思ったらあっという間にフェイドアウトしてしまい残念です。 7はヴァイオリン奏法やディレイによる効果音的なプレイで怪しいムードを演出し、後半の盛り上がりではオクターブ+4度のBensonプレイで緊張感を高めます。 8では、アコギによるBossa調バッキングです。 9も左のアコギと右のエレクトリックのコンビネーションです。左のストロークも右のオブリも激しいプレイで、特に右はユニゾンチョーキングやダブルストップのオブリ、カッティングとも熱さを感じます。 9分におよぶタイトル作の10、ギターの主役は杉本さんのヒスパニックなガットですが、松木さんはキレも重みもあるカッティングで緩急のある曲に表情をつけ加えています。後半のカオスにも対応しています。 正直なところ、シュールな歌詞や緊張感の高いアレンジが自分の好みには合わずこの世界には入り込めないのですが、3,6,9のプレイなどいつにない激しい松木さんのギターが聴ける1枚です。今では常識的な価格で買えますので松木さんファンの方は是非聴いてください。
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡ |
酒のお供度 | ♡♡♡ |
シュール度 | ♡♡♡♡♡ |
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