石黒ケイ / アドリブ (1980) – 松木恒秀

薄幸の美女のJazz演歌、淡々としたバッキングです。

A1. 暗闇のラブ・ソング
 2. 憎いあんちくしょうのブルース
 3. サフランのように
 4. 鍵
 5. 本牧挽歌

 
B1. 今晩おひま
 2. ひとり暮らしのワルツ
 3. ひとりぼっちのララバイ
 4. 明日はクール
 5. 恋はもうたそがれ
 


 
石黒ケイさんの'80年の作品です。4枚目にあたり、作詞・作曲、アレンジ、バックのミュージシャン、どれも一流どころのバックアップを得て、色香漂う”薄幸の美女”ぶりが本作でも発揮されています。特に、バックを務めるメンバーにArt PepperやToots Thielemans、北村英治さんなど、Jazzミュージシャンを拝したことが発売当時には音楽誌やFM誌で話題になったようです。(自分は小学生だったので当然リアルタイムではないで、記憶にはありません)本作がどれぐらい売れたのかは分かりませんが、大きな需要があって、それなりの制作費をかけることができたのだと思います。
本作も、新宿ユニオンのJazz館のセール箱から購入しました。まだ昭和歌謡館がない'00年代の中頃だったと記憶しています。やはり、裏ジャケに松木さんの名前を発見して購入しました。1000円ぐらいでした。
確かにミュージシャンやアレンジはJazzですが、どの曲でも身勝手な男を忘れられない一途な女性の切ない思いが若干のやさぐれ感を交えて歌われており、本質的には演歌ではないかと思います。愛猫にワインを飲ませて踊るなど、凄い歌詞も出てきます。革ジャン、革パンのモノクロジャケットも内容をよく表していると思います。



<ギターの聴きどころ>

裏ジャケのクレジットによると松木さんはA1,B1への参加です。他のメンバーはコルゲンさんアレンジとキーボード、ポンタさんドラム、岡沢さんベース、そしてArt Pepperがアルトです。もの凄いメンバーです。
A1,ポンタさんと岡沢さんの熱いグルーブ、そしてArt Pepperの流石のプレイが見事ですが、松木さんはクールにコーラスサウンドでのカッティングに終始しており、必要以上に熱くならず、楽曲としてのまとまりを大事にしているように感じられます。
B1では、ゆったりとしたムードの中で、夜の世界での男女の駆け引きを歌っています。もしも不倫だったら、現代では正義警察にネット上で糾弾されそうです。松木さんはヴォーカルとサックスを盛り上げるため、淡々としたコードの刻みを中心としたバッキングに徹しています。
2曲とも、ソロやオブリなどでの典型的な「松木節」は聴けませんが、主役と相方(Art Pepper) を盛り立てるための的確なプレイと思います。(山岸さんだったらPepperと渡り合うべくトコトン弾きまくるかもしれません!)
なお、A5は杉本さんがバッキングですが、味わい深いプレイなのですが、個人的にはエフェクトが強すぎる感があります。
小西徹さん(A4, B4)と小杉敏(A2, B3・・・本業はベーシストですよね)さんのJazzバッキングもいい感じです。
演歌とJazzと薄幸の美女と松木さんのギターが好きな人は、既紹介の”女は女”、”潮騒”共々ぜひ聴いてください。






Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡
薄幸の美女度♡♡♡♡♡

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