弘田三枝子 / In My Feeling (1977) – 松木恒秀

2023年8月13日 2023年8月13日

domon@guitar

杉本さんとの息のあったコンビネーションプレイです。

A1. Love For Sale
2. They Say It's Wonderful
3. If You Touch Me Baby
4. Loving You Was Like A Party
5. I'm Blind To All But You

B1. Tell Me
2. Day By Day
3. Soul Lady
4. Love Won't Let Me Wait
5. In My Feeling

弘田三枝子さんの'77年の作品です。前作"My Funny Valentine"同様、コルゲンさんプロデュース（A5のみ杉本さんプロデュース）で、バックの演奏もコルゲンさん人脈の一流どころが務めています。前作でも自作曲が1曲ありましたが、本作では作詞作曲が3曲、作詞が2曲と増えていて、総合的な音楽家としての才覚を発揮しています。カバー曲もミュージカルからJazz,Soulとバラエティに富んでおり、シンガーとしての力量発揮も、もちろん申し分ありません。
本作も松木さんに詳しい大学のサークル時代の友人にまずオリジナル盤を借りて聴きました。松木さんと杉本さんの共演も聴ける貴重な作品でした。その後、レコード店に行くたびにいつもチェックしていたのですが、店舗で見かける頻度も少なく、通販やオークションなどでも値段を見て躊躇していましたが、5000円を下回ったブツをユニオンで発見したので迷った末に購入しました。モノトーンのジャケットも
その後、昨年の11月に4400円で復刻版LPが発売され、チキショーと思いましたが、流石にこの値段では2枚は買いたくないのでこれは見送りました。しかし、もう時代はCDではなく、アナログ回帰なのですね・・・もっとレコードが盛り上がって、MCカートリッジなど大量生産で値段が下がらないでしょうか？

＜ギターの聴きどころ＞

裏ジャケにはクレジットがあり、さらにはインナーには個別曲について記載があり、松木さんは全曲に、杉本さんはA4,A5,B2,B4がエレキギター、A2,B5がギター（何が違う？）で参加していると書かれています。
スタンダードのA1、スィング感を残しつつもモダンにアレンジされていて、イントロだけを聴くとコルゲンさんというよりは大野さんのルパンのサントラに近いものを感じました。松木さんは得意技の一つであるキレも重みも感じさせるカッティングでGrooveを引っ張ります。
ミュージカルのA2、ロングソロが入ります。ライナーノーツには杉本さんのアコースティックギターと書かれていますがフルアコでは？松木さんは右から控えめなバッキングです。
弘田さん作のA3、ところどころディレイも駆使した右のいつもの松木バッキングと左の2拍4拍のカットの組み合わせです。
Marlena姉御のカバーのA4、左のオブリとソロが杉本さん、右のバッキングが松木さんと思われます。（原曲はCarltonとDavid T.）
弘田さん作、杉本さんアレンジのA5も左が杉本さん、右が松木さんでしょう。杉本さんはCarltonぽさも感じさせますが、Marlena姉御でのDennis Budmirを意識したプレイのように思えます。
コルゲンさん作曲のスロウのA1、松木さんは左に引越し、タメのあるオブリで艶っぽい弘田さんのヴォーカルに絡んでいきます。
B2の重みもキレもある右のカッティングが松木さん（Derek & Dominosの「Why Does Love Got To Be So Sad?」を思い出しました）が松木さんで、左のオブリ、ソロが杉本さんでしょう。
FunkyなB3,リズム隊とGrooveを作りながらもコードのスライドなどを噛ませた小技を効かせたバッキングです。
ハンクロやChickenshackも取り上げたMajor HarrisのB4,の曲も左が杉本さん、右が松木さんと思います。リフのフレーズのハモリなど、息のあったコンビネーションプレイです。
タイトル曲のB5も、二人のコンビネーションです。杉本さんは割と正攻法ですが、松木さんはオブリのフレーズなどヒネリを効かせています。
松木さんと杉本さんの共演作、弊ブログでもいくつか取り上げてきましたが、本作でも息のあったコンビネーションです。（先輩の杉本さんがメインですがサポートに回った松木さんもいい味を出しています）
また、本作は岡沢さんと江藤さんのベースも聞きどころの一つではないかと感じております。弘田さんファンの方はもちろんですが、ギターファン、ベースファンの方にも楽しんでいただける盤、ハズレ曲は1曲もなく、決して安くはありませんが買って損はありません。