Phil Upchurch / All I Want (1991)
チープな バックのサウンドですが、いい意味で無節操なUpchurchが満喫できます
1. Poison 2. When We Need It Bad 3. 12/25 4. 516 5. Grace 6. What Will I Do 7. All I Want From You 8. U God It Gowin On Phil Upchurchの'91年の作品です。同じ'91年に日本のElectric BirdからSoul Jazzの"Midnite Blue"をリリースしていますが、こちらは電子音多用の異色作(大半の曲がUpchurch自身による楽器演奏&打込、かつ自宅のパーソナルスタジオでの録音)で、Ichibanよりリリースされています。チープなインナー(なぜかA面、B面にわけて曲が記載されています。)など予算をかけていないのかと思いきや、Norman ConnersやDavid T.とも共演が多いJerry Petersが一部の曲に参加しており、AOR風のヴォーカル曲が入っていたりと謎の多い作品です。そもそも、同じ年に別のレーベルからCDをリリース、契約上問題はないのでしょうか? 本作は、'10年ごろ、ユニオンのSoul&Blues館のセール品コーナーで購入しました。それまで存在自体把握しておらず初めて見たCDでしたが、500円だったので迷うことなく買いました。Ichibanは、80年代半ばに設立されたレーベルで(ハルク・ホーガンが設立者ではありません。為念)Calarence Carterや、Gary B.B.Colemanなど、Blues'n Soulを中心にリリースしており、打込多用のチープなリズムトラックとDeepな主役たちのヴォーカルのギャップによるユニークなサウンドに特徴がありました。中古LP盤はSoul&Blues館の常連で私もずいぶんお世話になりました。従い、本作もジャケットのL5をプレイする主役のイラスト通り、Blues'n Soulなのかなと思いましたが・・・・ <ギターの聴きどころ>
1、Booby Brownかと思うような打込リズムでスタートしてびっくりです。しかし、その後すぐにUpchurchによるオクターブ奏法が入ってきて、マシンとヒューマンの融合されたサウンドが進んでいきます。 続く2はガットギターのアルペジオで始まり、気取ったヴォーカルが続きます。(少しBenson先生を思わせる歌いぶりです)ギターはバッキングだけです。 3、Isley'sの「Between The Sheets」のような無機的なビートに乗せて、トリッキーなフレーズも交えつつ自由にプレイするUpchurchのギターです。 4も同様の組み合わせですが、バックとギターがそれなりに融合しており、あまり違和感は感じません。 3と4のタイトル数字、何を意味するのでしょうか? 5,なんとなくメロウさを感じさせる曲ですが、右のギター含め全体的にチープなサウンドで、Grace感は感じません・・・・ 6は再び歌物でブラコン風味です。ここでのバッキングはストラトによるモダーンなものですが、これもUpchurchが弾いているのでしょう。なんというプレイの幅広さ! 7は、聴いたことがあると思ったらTempsのカバーでした。(By All MeansのStan Sheppard作)Ali-Ollie Woodsonが熱く歌ったメロディを小技や速弾きを挟みながら淡々と辿っていきます。 8,同じくギタリストのCraig T. Cooperの曲をUpchurch風に料理しています。 1や8など、90年代半ばに脚光を浴びたRonnie Jordanを先取りしたような曲、少し先を行き過ぎたのでしょうか?サウンドのチープさはさておき、Upchurchの先取性、雑食性(節操のなさ?)を感じさせる不思議な1枚です。 本作購入以降見かけたことがありませんが見つけたら是非聴いてください。
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡ |
お酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
無節操度 | ♡♡♡♡♡ |
ジャケット違いのようです。
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